避難訓練の重要性を再認識

 5日は津波防災の日だった。1854年11月5日に発生した安政南海地震で、多くの住民を救った広川町の稲むらの火の話にちなんで制定された日。地震・津波による死者をゼロに抑えたいという思いの詰まった日でもある。この日に合わせて各地で避難訓練が行われ、各地域とも多くの住民が参加した。「人はいざというとき、経験したことしかできない」とは、防災に熱心だった方が言われていた言葉。経験しておくことでいざというとき体が動く。言い換えれば、一度も訓練せずにスムーズに避難するのは難しいということ。それだけ日ごろの訓練が大切だと強調されていたのを思い出す。
 筆者の住む印南町でも祝日の3日に行われた。息を切らして高台に避難した人からは「50人くらい避難したので、もしここで数日間過ごすとなると小さな施設内には収まらない。真冬の屋外も覚悟して毛布などの備蓄も必要」との声が聞かれた。訓練に参加して何分で避難できるか計るだけでなく、これがもし本当の地震ならこのルートで、この避難の速さでいいのか、避難場所で数日間しのげるのか、学ばなければならない。訓練に参加して初めて見えてくることがあるのだから。
 あらかじめ避難ルート、避難場所を決めている人は多い。だが、そのルートが土砂崩れや塀が倒れるなどして途中で寸断されていたら逃げ切れるか。元に戻って別のルートで逃げても間に合うか。これからはこんな想定の避難訓練も必要だろう。自分自身が確実に逃げ切れる力を身につけること、自分の家族は確実に避難していると信じる勇気を持つこと、津波死者ゼロのために最も重要なことだとあらためて自分に言い聞かす。    (片)

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