東日本豪雨災害の被災者を応援しようと、御坊市湯川町小松原、はり・灸・小児はり「中宮院」の代表で鍼灸師の中野正得さん(35)は去る20、21の2日間、茨城県常総市の鬼怒川決壊現場近く、避難所が開設されているつくばみらい市でボランティアを行った。ひざや腰に持病を持つ高齢者や、避難所生活で疲れがたまっている人も多く、仮設テントで施術して被災者に体と心の癒やしを提供した。
県鍼灸師会に所属している中野さんは、公益社団法人日本鍼灸師会が東日本豪雨災害のボランティアを募っていることを知り、シルバーウイークの連休を利用して茨城県に行くことにした。つくばみらい市は、鬼怒川決壊で甚大な被害が出た常総市に隣接し、避難所を開設して被災者を受け入れている。中野さんは約200人が生活している同市総合運動公園内の体育館を訪問。併設されている鍼灸用の仮設テントには数台の施術ベッドが並び、茨城県鍼灸師会のメンバーと一緒に施術した。腰や首に持病がある人だけでなく、慣れない避難所生活と、日中は自宅の泥かきや片づけなどを続けて疲労がたまっている人も多く、中野さんは和歌山から持参した温熱器でお灸したり、はりを施して心身のケアに貢献した。
平成23年に紀伊半島を襲った台風12号豪雨災害では、被害の大きかった日高川町で鍼灸ボランティアした経験もある。中野さんは「体が楽になったと喜んでもらえたことが一番うれしかった」とし、被災地での活動を通して「避難している皆さんは被災の精神的ショック、がれきの除去作業で腕や足腰のけが、長い避難所生活によるストレスなど、心身の疲労が蓄積されている。被災者だけでなく、職員やボランティアも疲労がたまるはず。心身両面でケアできる鍼灸師は災害時に必要だということも感じました。この経験を今後にも生かし、これからも災害時には自分にできるボランティアを考えていきたい」と話している。