平成23年9月3日から4日未明にかけて死者3人、行方不明者1人、家屋の全半壊120軒など日高川町に大きな被害をもたらした台風12号豪雨から丸4年。県が日高川の入野、三十木、皆瀬の3カ所で行っている災害復旧の5カ年事業は最終年を迎えている。被災した護岸の復旧だけでなく、河道拡幅などを行い、再被害の軽減を図る。
県は台風12号で甚大な被害を受けた日高川の災害復旧・改良として、約85億円を投入し、平成23年を含む5カ年計画で事業を進めてきた。事業区間は入野(和佐~松瀬の約3.6㌔)、三十木(三十木~原日浦の約2.5㌔)、皆瀬(皆瀬~川原河の約2.
8㌔)の3地区。
90戸の浸水被害が発生した入野地区では4カ所で堤防を内側に引く、「引き堤」工事。河川の両サイドを掘削し川幅を広げ、護岸整備、盛り土を行い堤防を築く。引き堤を行う場所は松瀬橋周辺の左岸500㍍、右岸200㍍、松瀬橋から下流の入野橋までの間の右岸1000㍍、入野橋付近の右岸1300㍍。20㍍から最大で約50㍍まで内側に引くことで川の流下能力を向上させ、浸水被害の軽減を目指す。
38戸が浸水した三十木では掘削で川幅を広げ、盛土でかさ上げして護岸を整備。103戸が浸水した皆瀬では1カ所で引き堤工事。約20㍍内側に引くほか、堤防の高さを従来より3㍍かさ上げする。
工事の進捗状況は、三十木は終わっており、皆瀬も水路などを残すのみ。入野は護岸と引き堤が全体の7割ほどできており、今後残りを仕上げ、従来の堤防を撤去。水路など一部工事で来年度への持ち越しが予想されているが、引き堤などは本年度中の完成を予定している。
県では日高川の氾濫による家屋浸水を防ぐため、今後約20年間の河川整備計画を策定中。災害復旧の3カ所のほか、すでに取りかかっている若野をはじめ、平川、船津、坂野川、田尻、浅間地区でも掘削や堤防整備などによる流下能力向上対策を盛り込んでいる。