徳本上人と小林一茶

 全国的にさまざまな地域活性化の取り組みが行われているが、その中にそば栽培というのもある。そばは比較的手間がかからず栽培できるとされており、遊休農地の有効活用や名物開発につながるからだ。日高地方でもかねて観光関係者の中にはそば栽培を提案する人がいる。
 そんな中、日高町観光協会内徳報会の会員が、遊休農地でそば栽培をスタートさせる。同町が生誕の地である徳本上人の偉業顕彰と地域活性化の取り組み。全国的にみると日高町でのそば栽培は〝二番煎じ〟や〝三番煎じ〟どころではないが、同町は全国にないそばとのつながりがある。
 社会面でも紹介した通り、俳人小林一茶がかつて「徳本の腹を肥やせよ蕎麦の花」と詠んだ。上人といっしょに信州を旅し、上人の一日の食事が一合のそば粉であることを知り、驚いて詠んだ句。恥ずかしながら筆者は一茶と上人の関係についてあまり知らなかったが、この句のおかげで、日高町とそばが結びつく。全国的にもそうだが、名物や名所をPRする場合、何か物語やストーリー性があったが方がいいと言われている。そういった意味で、同町での上人顕彰とそばの名物開発はうってつけで、徳報会の目の付けどころに感心した。
 さらに、一茶は上人の教えに従い念仏を唱え、「上人の口真似してやなく蛙」と詠んだほか、虚弱なわが子の無事を祈り、上人の徳にすがりひたすら念仏を唱えたとされ、上人と一茶の関係は深い。将来的には上人の生誕の地でそばを食べ、一茶と旅した信州を巡るなど、広域的に連携した観光ツアーが企画できるかもしれない。日高町のそば栽培に大きな可能性を感じる。(吉)

関連記事

フォトニュース

  1. 水をまいたら涼しくなるよ

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 乳飲み子抱え上海から引き揚げ 御坊市島に暮らす98歳の嘉美(よしみ)さんは、1921年(大正1…
  2. 34年前、活字にならなかった一冊の本 活字の本として出版されることのなかった、一冊の戦争体験集…
  3. 船団護衛の海防艦で南方へ 1923年(大正12)8月19日、夏目英一さん(95)は日高郡旧野口…
  4. 千人針と250人分の寄せ書き発見 「あれ、これは何やろ」 1999年(平成11)8月、母の薫(か…
  5. 飛行兵志願も母が反対 小瀬輔造さん(89)は1930年(昭和5)1月7日、日高川町…

日高地方などのイベント情報

現在予定されているイベントはありません。

Twitter

書籍レビュー

  1.  「バイバイ、ブラックバード」を読むと、原典に当たる太宰治の「グッド・バイ」が読みたくなったので、文…
  2.  作者の生まれは明治18年。明治45年に執筆され、初版は大正10年とかなり古いですが、繊細な描写が特…
  3.  6月19日は桜桃忌。芥川龍之介の河童忌、司馬遼太郎の菜の花忌ほど有名ではありませんが、太宰治の命日…
  4.  銀行に7年間勤務した経験を持ち、「半沢直樹」「陸王」「ルーズヴェルト・ゲーム」など人気ドラマの原作…
  5.  幅が狭く、カーブが続き、前から車がくればすれ違うこともできず、一つ間違えば谷底に転落してしまう…。…
ページ上部へ戻る