高校野球100年の夏

 阪神甲子園球場で熱戦が繰り広げられてきた第97回全国高校野球選手権大会は、東海大相模(神奈川)の45年ぶりVで幕を閉じた。最速152㌔のプロ注目左腕と、切れ味鋭いスライダーを武器にする右腕の両エースを擁し、打線も破壊力抜群。準々決勝では終盤までリードされる厳しい試合を9回サヨナラ勝ちし、決勝でも最大4点のリードを6回に振り出しに戻されるなどしながら最後は左腕の一振りで勝ち越し、押し切った。強力な2枚看板の投手力や決勝を含む3試合で二けた得点の打線に目が向けられがちだが、準決勝で見せた次の進塁を許さない隙のない守備、エンドランやバスターを絡めたそつのない攻撃なども素晴らしかった。
 大会を振り返ると、全48試合のうち1点差ゲームが15試合あった。とくに第11日の3回戦4試合はすべて1点差の決着。追いかける方の最後まであきらめない姿勢、逃げる方の粘り強いプレーが、この結果に表れたように感じる。少し失策が目立ったような気がするが、それを帳消しにするほど白熱したゲームの連続。それに早実(西東京)のスーパー1年生の活躍も高校野球100年の節目の夏をより一層〝熱く〟した。
 東北勢悲願の全国制覇に、あと一歩届かなかった仙台育英(宮城)。決勝での反撃などを見ると、優勝校と遜色ない実力だった。この夏で監督を引退した横浜高の渡辺元智さんは「栄光より挫折、勝利より敗北、成功より失敗」との言葉をよく口にし、敗戦からの方が学ぶべきことは多いと教え子たちにも伝えている。仙台育英をはじめとする東北勢がこの夏の悔しさを糧に、次にどんな戦いを見せてくれるのか。101年目の高校野球を楽しみにしている。(賀)

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