戦争を知らぬ日本人の未来へ

 70年前に終わった戦争は何だったのか。夏になると、タンスの着物を虫干しするかのように、マスコミはこぞって戦争を振り返る。本紙もしかり。体験者の記憶は悲しく、つらく、いまの時代を生きる日本人としてそれぞれの立場で身につまされ、平和が続くことを願う。だけではもったいない。
 「一億玉砕」「神州不滅」といったスローガンのもと、大国を相手に国家総力戦で敗れた日本。1000万人ともいわれる陸海軍の兵力、その団結力は強靭で、レイテや沖縄戦の特攻、硫黄島やペリリュー島の持久戦、さらに銃後を守る婦女子の生活をみても、国民の士気は最後まで衰えることがなかった。
 輸送船への魚雷攻撃、東京大空襲をはじめとする都市部の焦土化爆撃、2発の原爆など、これらの人道に反する米国の大虐殺行為、さらにソ連の火事場泥棒のような侵攻と侵略に対しても、敗軍の日本人は黙して語らず。ひたすら反省、謝罪を繰り返してきた。
 侵略か自衛か、植民地化か列強からのアジアの解放か。中国の利権を狙う米国にとって、大国のごとき振る舞いをみせるアジアの小国はこのうえなく邪魔な存在だったはず。すでに死に体の日本を原爆の実験場にまでした非道ぶりには、国益以上に根深い差別感情があったとしか考えられない。
 記憶は時間とともにぼやけ、あの戦争をしっかり記憶する人は80代、90代。あと10年もすれば、話を聞ける人がいなくなるかもしれない。そのとき、隣の異形の大国は、かつて憎み合った米国同様、日本のよきパートナーとなっているだろうか。
 80年前のように、個の多様性を失っては暴発、絶滅の危険もある。歴史の上にいま、何をすべきか。中国と対等に向き合い、戦争を知らぬ日本人が戦争をしないために。(静)

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