日高町語り部の会のササユリプロジェクト始動

 美しいササユリで観光客に感動を――。日高町語り部の会(杉村邦雄会長)が、県の地域・ひと・まちづくり補助事業の認定を受けて、原谷地内、鹿ケ瀬峠の熊野古道でササユリの復活プロジェクトをスタートさせた。現地では約30年前にササユリがたくさん咲いていたが、現在はイノシシやシカの獣害などで絶滅。同会は、獣害対策もしながら、まず今冬に約1000個の球根を植栽し、今後5年をめどに復活を目指す。
 ササユリはユリ科ユリ属の球根植物。日本特産で日本を代表するユリ。ヤマユリと呼ぶ地域もある。5月から7月ごろに直径10~15㌢の淡いピンク色の花を咲かせ、芳しい香りを漂わせる。原谷地内の熊野古道では、古くからササユリと黒竹が〝二枚看板〟として現地を訪れた人を出迎えていた。しかし、語り部の会で観光客らを案内して現地を見ていると、3、4年前には1、2本が咲くだけとなり、現在は全くなくなってしまった。原因については、当初は心ないハイカーらが球根ごと掘って持っていったためと考えられていたが、近年イノシシが球根、シカが花を食い荒らすためだと分かってきた。
 こういった現状に語り部の会では、「観光客を案内した時にも『昔はササユリがきれに咲いていたね』と残念そうに言われる。何とかもう一度美しい光景を復活させよう」と思い立ち、県の関係者らに相談。県の地域・ひと・まちづくり補助事業の申請を行い、今月7日付で認定を受けた。ササユリを復活させる場所は、金魚茶屋から北東へ熊野古道を進み、石畳道へ向かう手前の自然散策公園(古道公園)。球根1000個は、日高川町のバイオセンター中津で購入予定。植栽面積は280平方㍍。1マス10㌢程度のワイヤーメッシュをかぶせて、イノシシやシカが食べるのを防ぐ。植栽時期についてはことし11月から12月を考えている。事業費は約100万円を見込んでおり、うち県の補助金は48万3000円。また、事業費のうち球根購入費が約70万円で大半を占める。
 復活プロジェクトの成功に向けて必要となるのは、植栽を手伝ってくれるボランティアと補助金以外の資金調達。植栽ボランティアについては、町シルバー人材センターのほか教育委員会を通じて小中学生に協力を求めていく。資金調達については「ササユリ募金」と銘打って紀伊路語り部会や日高町老人会、日高熊野古道楽歩会などのほか、町内外に広く呼びかける。熊野古道に復活プロジェクトの説明看板も設置してアピールしていく。
 杉村会長は「人工で育てたササユリの球根は野生に植えると弱いと聞き、毎年咲いてくれるのかどうか分かりません。獣害対策も試行錯誤ですが、5年ぐらいかけチャレンジ精神でササユリの復活を目指したいと思います。皆さんの協力をお願いします」と話している。9月9日には現地説明を兼ねたウオーキングも企画。問い合わせは杉村会長℡090―9094―0651または産業建設課℡0738―63―3804。

関連記事

フォトニュース

  1. より安全、快適になりました

写真集

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 乳飲み子抱え上海から引き揚げ 御坊市島に暮らす98歳の嘉美(よしみ)さんは、1921年(大正1…
  2. 34年前、活字にならなかった一冊の本 活字の本として出版されることのなかった、一冊の戦争体験集…
  3. 船団護衛の海防艦で南方へ 1923年(大正12)8月19日、夏目英一さん(95)は日高郡旧野口…
  4. 千人針と250人分の寄せ書き発見 「あれ、これは何やろ」 1999年(平成11)8月、母の薫(か…
  5. 飛行兵志願も母が反対 小瀬輔造さん(89)は1930年(昭和5)1月7日、日高川町…

日高地方などのイベント情報

  1. いなみまめダムマラソン

    11月 3 @ 8:00 AM

Twitter

書籍レビュー

  1.  「バイバイ、ブラックバード」を読むと、原典に当たる太宰治の「グッド・バイ」が読みたくなったので、文…
  2.  作者の生まれは明治18年。明治45年に執筆され、初版は大正10年とかなり古いですが、繊細な描写が特…
  3.  6月19日は桜桃忌。芥川龍之介の河童忌、司馬遼太郎の菜の花忌ほど有名ではありませんが、太宰治の命日…
  4.  銀行に7年間勤務した経験を持ち、「半沢直樹」「陸王」「ルーズヴェルト・ゲーム」など人気ドラマの原作…
  5.  幅が狭く、カーブが続き、前から車がくればすれ違うこともできず、一つ間違えば谷底に転落してしまう…。…
ページ上部へ戻る