経験者の言葉は重い

 先日、名田中学校で開かれた命の教室で、一人娘を交通事故で亡くした清水三夫さん(和歌山市)から講演を聴いた。清水さんの娘(享年24歳)は平成11年2月、職場の先輩の運転する車に同乗し、転落事故に遭い亡くなった。清水さんは病院で亡くなった娘の姿を見た時、「全身の力がなくなり、頭が真っ白になった。人の話もまったく頭に入ってこない。1+1を尋ねられても、考えられないほどで、人に物事を伝えることもできなかった」とショックの大きさを振り返った。また娘がいなくなったことで夫婦関係にも大きな影響が出たことも話し、1人の人間の存在が周りに与える影響の大きさを説明。生徒たちに自分は周りの人にとって世界中で1人だけの唯一無二の存在であることを訴えた。
 また最近、戦争経験者の女性の話を聞いた。女性は御坊の空襲に遭い、間一髪で直撃を避けることができたが、すぐ近くに爆弾が投下され、激しい爆音と爆風に襲われた。その時の様子を「おなかの中の胃や腸がかき回され、外に飛び出していきそうだった」と手振りを交えて説明し、当時の恐ろしかった体験を伝えてくれた。いずれも経験者しか分からないリアルな表現で語っていたのが印象的だ。
 交通事故で家族を失うことと戦争は大きく異なるが、どちらも現在の生活ではそう頻繁に経験することではない。経験せずとも誰もが交通安全には気をつけ、戦争のない平和な暮らしを望んでいるだろうが、こういった経験者の実体験を聞くことで、あらためて交通事故が周りに与える影響や戦争の恐ろしさを感じることができる。経験者の言葉は今後の啓発として最も効果がある。経験者の思いが紙面を通じて読者に伝わるよう努めていきたい。(城)

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