対立なくして成長はない

 話題の大塚家具のお家騒動。創業者の会長と社長の長女が経営方針で対立、株主総会で双方が相手の退任を求める委任状の争奪戦となり、結果は約6割の賛成を得た社長側が勝利。社長は「総会が終わればノーサイド」と述べ、全社一丸となっての再出発を強調した。
 「権力とは与えられるものではなく、奪いとるものだ」というのは、マフィア一族の盛衰を描く映画『ゴッドファーザー』シリーズ最終章のコピーだったか。大手企業の経営をめぐる争いをギャングの抗争と同じにする気はないが、トップとして会社(ファミリー)を強く大きくしながら、守っていくという思いは通じる。
 相手を社の経営から外しにかかるなど、他人同士ならまだしも、血のつながった家族間でどちらもこんなことはしたくない。水面下の調整は万策尽き、今回の総会での提案も物笑いの種になるのは百も承知の上。大手メディアはこの売れる一連の騒動をニュースにしながら、「不毛な対立は会社の信用を落とすだけ」などとどの口がいえるのか。
 そもそも、大手、中小、法人、個人の事業者であってもなくても、家族の仲が悪いというのはなんら珍しい話ではない。経営については、親も子も真摯であるからこそ対立し、対立がなければ変化がなく、成長もない。いらぬけんかは必要ないが、二代目も創業者の親に反発するぐらいの気骨がなければ、新社長の息子に色眼鏡をかける社内をまとめられない。
 『ゴッドファーザー』の二代目は、ファミリーを守るため、裏社会では弱すぎる兄を苦渋のうえ殺害する。「仲よきこと」は美しい半面、日本人特有の幻想。大塚家具の争いはあくまで経営上の闘争であり、「親子げんか」という言葉は当てはまらない。   (静)

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