映画『バンクーバーの朝日』でカナダ移民の歴史に光

 戦前戦中のカナダの日系人野球チームの活躍を描いた映画『バンクーバーの朝日』が公開され、差別や苦難を乗り越えてきた日系人社会にスポットが当たるなか、かつて多くのカナダ移民を送り出した美浜町三尾地区でも映画が話題に。今月20日にフジテレビ系で放送された映画の特番では、バンクーバー郊外に暮らす三尾出身日系2世の男性が取材を受け、日系人社会の歴史を語った。
 1900年代初頭、カナダの日本人街で、野球チーム「バンクーバー朝日」が誕生。体の大きな白人チームにフェアプレーで立ち向かう選手たちは、人種を超えた友好の象徴となったが、1941年の日米開戦を機に、日系人は「敵性外国人」として強制収容所での生活を強いられ、チームもなくなる。終戦から半世紀以上が過ぎた2003年、バンクーバー朝日は移民社会と野球文化への功績を認められ、カナダ野球殿堂入りを果たした。
 この実話を元に完成した映画の公開に合わせ、制作のフジテレビは特番「歴史の波間に消えた真実の物語」を放送。三尾出身者が多く暮らす港町スティブストンで、日系2世の村尾敏夫さん(94)が映画に出演した亀梨和也からインタビューを受ける姿が放送された。
 元漁師の村尾さんは、昔の漁師はエンジンのない手こぎの船で海に出たこと、漁師の妻は幼い子どもを背負って缶詰工場で働いたことなどを回想。生きるために精いっぱい、勤勉に働き、現在の日系社会の土台を築いた歴史を紹介した。
 明治21年、「カナダ移民の父」と呼ばれる美浜町三尾出身の工野儀兵衛氏が海を渡ってことしで126年。三尾の村尾さんの親類の男性(59)は放送を見て、「敏夫さんだけでなく、日系移民の方は異国の地で、戦争ではずいぶん苦労されたと思いますが、その分、人に対する優しさがにじみ、おおらかな印象を受けました」と話していた。
 映画『バンクーバーの朝日』は石井裕也監督がメガホンをとり、妻夫木聡を主演に、亀梨和也、上地雄輔、佐藤浩市、貫地谷しほり、宮崎あおいらが出演。ジストシネマ御坊などで上映中。

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