日高地方でも健さん悼む声

 「健さん」こと、俳優の高倉健さんが亡くなり、全国各地の映画ロケ地等に献花台が設置され、ファンが行列をつくるなか、日高地方のファンの間でも追悼の言葉が聞かれる。御坊市内の東映直営映画館跡には、現在も映画の看板やポスターを保管する倉庫が残っており、中には高倉健主演作品のポスターも。近所の人は健さんへの哀悼とともに、「東映任侠映画が全盛のころは劇場も商店街もすごいにぎわいでした」と昭和の時代を振り返る。
 御坊市内には昭和30年代まで、老松座、日吉座、中央劇場、グランド劇場と4つの映画館があった。家庭にテレビが普及するまでは映画が娯楽の頂点で、まんが祭りや高倉健、美空ひばり、渥美清、石原裕次郎ら、それぞれの世代が銀幕のスターに心躍らせた。
 薗の松原通りにはグランド劇場(現在は高辻内科胃腸科)があり、40年代前半は東映直営館として鶴田浩二の『博奕打ち』シリーズ、高倉健主演の『網走番外地』『昭和残侠伝』などの任侠ものが人気を集めた。休日などは客の自転車が道にまであふれ、近くの商店や民家は有料の自転車預かりを営業したという。
 グランド劇場前の桑和代さん(79)は50年ほど前まで理容店を経営。「私は健さんより美空ひばりでしたが、このあたりの人は『向こう三軒両隣』といって、グランド劇場にはいつでも無料で入れてもらえたんです。健さんのヤクザ映画が全盛のころは、映画を見たあとに散髪をして帰る人も多く、『健さんみたいにしてくれ』というお客さんもいましたね」と振り返る。 
 劇場の経営者はすでに亡くなり、家族も県外に引っ越し、いまから二十数年前に建物も取り壊された。当時の名残りをとどめるものが何かないかと聞くと、桑さんの夫俊行さん(80)が「ポスターなら残っているかも」と、劇場経営者家族に借りている倉庫の中を探してくれた。
 出てきたのは劇場閉館前、昭和末期に公開された『男はつらいよ』シリーズやアイドル主演の邦画のポスター。健さん主演の任侠映画は見当たらなかったが、63年に公開された倉本聰脚本のパリ・ダカールラリーを舞台にした超大作『海へ~See you~』のポスターが見つかった。
 グランド劇場には映画の看板を専門に描く職人がいたが、倉庫には手描き看板は残っておらず、職人さんもすでに他界。家族によると、残っていた看板はすべて処分し、健さんが背中に唐獅子牡丹を背負った懐かしい看板は1枚も残っていないという。 
 レンタルDVD店に追悼コーナー 映画はテレビ、ビデオ、DVDへと時代がかわり、国道42号沿いのレンタルDVD店、TSUTAYA WAY美浜店、ゲオ御坊店ではともに「健さん追悼コーナー」が特設されている。

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