日本社会はLEDで目を覚ませ

 青色のLEDを開発した名城大教授の赤崎勇氏、名古屋大教授の天野浩氏、カリフォルニア大サンタバーバラ校教授の中村修二氏の3人が今年のノーベル物理学賞に決まった。日本人の受賞はiPS細胞の山中伸弥京大教授以来2年ぶり。災害、凶悪事件が相次ぐ日本に、まさにLEDの光のような明るいニュースとなった。
 授賞理由は「青色LEDとこれを使用した高輝度白色光源の実現」。辛坊さんの解説によると、赤崎氏と天野氏は赤、緑に続いて遅れていた青のLED開発に成功。中村氏はこれを発展させ、長時間、安定的に光を出せる素子を開発、家庭用電球などの量産化に道を開いたという。
 中村氏はかつて、徳島の民間企業の研究員で、世界初の偉業で社会に貢献、会社にも莫大な利益をもたらしながら、社内的には冷遇を受け、退社後、特許権をめぐって訴訟を起こした。一審は会社に対し200億円の支払いを命じたが、会社は控訴し、高裁勧告を受けて6億円、最終的には遅延損害金を含め約8億4000万円を会社が支払うことで和解が成立した。
 この間、中村氏の行動に疑問、批判の声も少なくなかった。研究が仕事の大学教授でさえ、日本は満足な環境、費用が与えられていないといわれるなか、地方の企業の一社員だった中村氏のストレスは凄まじかったはず。無理な研究を続けさせてくれた会社、社長への恩義を忘れた訳ではなかろうが、誹謗中傷を覚悟のうえで、訴えざるを得ないほどに日本社会は腐っていた。
 自ら起こした裁判がせっかくの偉業にミソをつけた形となったが、それも今回のノーベル賞ですっきり。手のひらを返して祝福ムードの日本の社会が、中村氏の目に歪んで見えていないことを祈る。 (静)

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