八雲立つ出雲から広がれ

 季節は神の月、神無月へ。神事が発祥の相撲はこの秋場所、怪物逸ノ城がまさかの新入幕優勝かと盛り上がったが、終わってみれば横綱白鳳が優勝。あいかわらずの日本人力士のふがいなさに、神様もさぞ嘆いておられよう。
 10月は俗に、日本中の神様が一斉に出雲へ出かけ、いなくなるために「神無し月」ともいわれるが、その神様不在を忘れようとするかのように、日高地方は各地で秋祭りがにぎわう。1日、2日の印南祭を皮切りに、祭りの季節が幕を開ける。
 八百万(やおよろず)の神々が集まってくるという出雲大社は昨年、60年ぶりの遷宮が行われ、天上界に通じる高さ24㍍の真新しい本殿に、祭神の大国主大神が戻られた。地元出雲市は歳入が大幅に増え、商業地価も上昇するなど、大遷宮の経済効果がくっきり。
 大社は天照大神の子、天穂日命(あめのほひのみこと)を祖とする千家家が代々、祭祀を執り行う国造(こくそう)を受け継いでおり、現国造の尊祐宮司は第八十四代。現人神として、天皇陛下でさえ許されない本殿内への立ち入りを唯一許され、日々、国の平安を祈願されている。
 今週末の来月5日には、現国造の長男、千家国麿権宮司と高円宮家の典子さまが結婚式を挙げられる。昨年の大遷宮、ご婚約発表に続き、島根出身のテニスプレーヤー、錦織圭の大活躍のニュースも、生前、スポーツを愛された高円宮殿下との不思議なご縁を感じずにいられない。
 昭和34年に皇太子殿下と美智子さまがご成婚されたときには、出雲大社で結婚式を挙げるのがブームになったとか。大きな自然災害が多発するなか、悲しみの雲を吹きとばすように、神在り月の八雲立つ出雲から、津々浦々に笑顔の雲が広がってほしいもの。 (静)

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