悲惨な戦争を学ぶ

 先月末、日高町中央公民館で開かれた「平和のための戦争展―日高発2014」を取材した。特定秘密保護法成立、集団的自衛権行使の議論が活発化する中、「命・平和についてあらためて考える機会に」と企画され、会場には戦争に関する500点以上もの展示物が並べられていた。
 戦時中の新聞、写真、ポスター、教科書などのほか、「焼夷弾」や爆弾の破片。さらに戦地からの手紙、臨時召集令状(赤紙)に、モンペ、防空頭巾など当時の服装まで出展されていた。赤紙には召集の日時まできっちりと記されており、「こんな紙切れ一枚が絶対だったのか」「自分自身がこれを手にしたらどのような気持ちになるのだろうか」などと思いをめぐらせた。
 一番印象に残ったのは戦地の父から子どもたちへ送られた手紙だった。「とをさんも元気一パイにてお国の為に御奉公して居ります。安心して下さい」と近況を知らせ、「今は何も書て(かいて)シラ(知ら)してやれないが…」などと複雑な胸中も綴られていた。会場の案内、説明役の人に聞くと、当然、手紙に好き勝手なことは書けなかった。仮に本心では早く帰りたいと思っていたとしても、「お国の為に御奉公」と書かなければならなかったのだろう。自分の子どもたちにさえ、どこで戦っているかを教えることは許されなかったといい、父の本当の思いを想像するとやるせない気持ちでいっぱいになった。
 この8月には戦後69年を迎え、戦争を体験した人たちも少なくなってきている。悲惨な戦争を風化させないというのがこれからの大きな課題。思想の〝左右〟は別にして、繰り返してはならない歴史については誰もが学ぶ必要がある。     (賀)

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