集団的自衛権行使限定容認に賛否の声

 1日の臨時閣議で安全保障制定に関する新たな政府見解を決定、集団的自衛権の行使を限定的に容認する方針を打ち出したことを受け、日高地方でもさまざまな意見が聞かれる。「国民の安全を守るためにも行使は当然」という声の一方、反対派からは「二度とわが子を戦場で亡くすような不幸があってはならない」という不安が聞かれ、なかには「日本がすぐにも戦争を始めるかのような一部マスコミの偏向報道が許せない」という賛成派の怒りの声もある。
 安倍内閣は、他国への武力攻撃があった場合の自衛権発動要件として、日本や日本と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、国の存立や国民の権利が「根底から覆される明白な危険」がある場合、必要最小限の武力を行使することは「自衛のための措置として憲法上許容される」とした。安倍首相はアメリカなど国際社会との連携を強化することで、武力を背景に現状変更を目論む中国などをにらんで「抑止力の強化」を強調。国民の間ではこれを支持する声のほか、自衛隊が海外の危険な地域に派遣されることを危惧する反対の声も少なくない。
 御坊市の歯科医栗本浩さん(90)は行使容認に賛成の立場から、「安倍首相のおっしゃる通り、現在の国際情勢を見たとき、集団的自衛権の行使を容認することで同盟国との連携を強め、日本を攻撃しようと考える国への抑止力とするという考えは正しいと思います。日本がすぐにも戦争を始められる国にしようとしているという方もいますが、安倍首相は憲法九条の原則を守るとも説明されています。日本から戦争を仕掛けるようなことはありえません」という。
 美浜町の会社相談役小松雅也さん(83)は、太平洋戦争を生き抜き、兄を特攻で亡くした経験から、いまの平和を守りたいとの一心で、集団的自衛権の行使に反対。「自衛隊が同盟国の戦争に参加することになったら、危険な戦闘の前線に立つことも予想され、武器で相手を殺し、自分が死ぬかもしれません。親が子の葬式をあげることほど悲しいことはない。若者が戦場へ行くような国にはしたくありません」と話す。
 中学生の息子を持つ美浜町の主婦(44)は、「自衛権の行使容認にはさまざまな条件があり、限定的とはいえ、過去の戦争では軍人だけでなく、一般の国民、女性や子どもでさえ戦争遂行のために駆り出されました。同盟国とはつまりアメリカであり、戦争ばかりしているアメリカという国を見たとき、本当にこれでいいのかという気がします」。自民党、安倍政権の思い通りに動く政治に危機感を募らせ、国民投票による決定を望む。
 ほかに、行使容認には賛成の立場で、反対派の一部マスコミの報道に怒る人も。日高川町の公務員の男性(43)は「安倍首相は日本が戦争をしないため、国民を守るために、国際社会の中で一人立ちできる国にするために、公明党との話し合いの中で必要最小限の限定的行使を決めた。それなのに、一部の新聞、テレビはすぐにも無条件に武力行使できるかのような表現をしたり、『平和主義を根底から覆す』などと偏った報道がみられ、それに多くの国民が引きずられているのが怖い」という。

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