防災は訓練参加から

 いまは映画監督として有名な北野武さんだが、昔はツービートという漫才コンビを組んでブラックユーモアで笑いを取っていた。そのネタの1つだったのが「赤信号みんなで渡れば恐くない」。三十数年前の漫才ブームで大流行し、いまでもこの台詞は耳にすることがある。人間は大勢の中では安心感があり、それは赤信号のような危険な場所でもみんなと一緒なら怖くないと皮肉ったネタだ。
 災害時の避難もこの人間心理が働くのかもしれない。以前に聴講した防災の講演会で、ある認識者は「一番最初に避難するのは恥ずかしいという気持ちが発生する。だから自分が進んで最初に避難することが大事で、それは周囲の人々の避難を誘」という趣旨の話をされていた。危機が近づいている状況でも周囲と同じような行動を取ろうとする心理が働き、大勢派の方を選んでしまうという意味だろう。北野さんがいう「赤信号みんなで渡れば怖くない」的な心理に近い。
 先日、みなべ町岩代地区で防災訓練が行われた。住民に対しては事前の実施日時は伝えられず、いきなり町内放送が流れて訓練がスタートした。夜で気温が低く、筆者は「果たしてどれだけの住民が避難するのか」という疑問を持っていたが、大勢の訓練参加者がみられた。「近所の人が訓練に参加するなら自分も」という意識が働いているのかもしれない。
 東日本大震災から11日で3年が経った。その大きな教訓は、すぐに逃げ出すこと。津波から命を守るという観点では「訓練に参加する」という住民が大勢を占める環境づくりが大事。それは少しの猶予も許されない、災害時のいち早い行動へとつながるだろう。 (雄)

関連記事

フォトニュース

  1. 気軽にご利用、ご来場ください

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 出撃直前、さくら弾機が炎上 極秘扱いで「知られざる特攻機」とも呼ばれたさくら弾機は、直径1・6㍍、…
  2. 飛行機乗りが夢だった 1944年(昭和19)6月、日本はマリアナ沖海戦に敗れてサイパンが陥落し、絶…
  3. 激戦のフィリピンで6年 日米開戦直後の1941年(昭和16)12月22日、日本は米軍の支配下にあっ…
  4. 空襲に怯え、悲痛な思い 大戦末期、空襲に怯え、悲痛な思いをした御坊市島の竹田(旧姓=山﨑)玉枝さん…
  5. 根室空襲、艦載機が猛爆 大東亜戦争末期、制海権を失った日本は北海道まで米軍に押し込まれ、1945年…

Twitter

書籍レビュー

  1.  還暦を過ぎても精力的に新作を発表し続ける東野圭吾。木村拓哉と長澤まさみ主演で映画化もされた人気シリ…
  2.  1945年8月15日正午、天皇陛下がラジオで国民に向けて終戦の詔書を読み上げ、国民はこのいわゆる玉…
  3.  テレビで見ない日はないぐらい、ニュースを視聴者に分かりやすく解説してくれるジャーナリスト池上彰氏。…
  4.  元アニメーターで江戸川乱歩賞作家、真保裕一の「行こう!」シリーズ最新作。今年5月に文庫化されました…
  5.  今回紹介するのは2005年に発行された推理小説家石持浅海の「君の望む死に方」。前作の「扉は閉ざされ…
ページ上部へ戻る