自然体のバレー監督に学ぶ

 年間全6回の市民教養講座。ことし最後となる第5回の講師は、女子バレー日本代表の眞鍋政義監督だった。
 「ぼくはカリスマ監督ではない」と話し、だからこそコミュニケーションを徹底したという。選手が髪型を変えた時は女性スタッフに教えてもらい、「竹下、髪切った?」と話しかける。「これで1週間はモチベーションが持続します」と、コミュニケーションの事例として愉快な裏話を披露。ロンドン五輪期間中に選手が観賞した「モチベーションビデオ」も上映した。試合映像をつなぎ、1人1人をクローズアップしながら画面上の言葉と音楽で盛り上げる。わずか数分ながら劇的な感動を呼ぶ映像で、思わずすすりあげる観客もいたが、終わると「編集は大変ですが、こんなのを流すんですよ。選手は号泣です」とあっけらかんと笑う。拍子抜けするような自然体である。
 気負わず、あるものをあるがまま見る。だからこそ物事が正確に見える。試合中iパッドを手離さないことで有名だが、客観的データを駆使しての采配もそんな監督だからこそ有効なのだろうか。しかし最後に強さを決めるのは「心」。五輪直前の左手人差し指の骨折をチームメイトに明かさず、3―0で韓国戦勝利を決めた竹下佳江選手。母が危篤で帰国した石田瑞穂選手のユニホームを自分のものの下に着て戦い、勝利に貢献した迫田さおり選手。彼女たちについて「目に見えない力というのは確かにある」と語った。
 データを重視してやれる限りの過酷な練習をやり、その上で「心」の力を信じる。カリスマ監督ではなくとも信頼を得られる采配。テレビで見ていて話し上手な印象はなかったが、確かな中身があれば自然体で十分通じるのだなと教えてくれた講演だった。  (里)

関連記事

フォトニュース

  1. バラエティー豊かに

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 出撃直前、さくら弾機が炎上 極秘扱いで「知られざる特攻機」とも呼ばれたさくら弾機は、直径1・6㍍、…
  2. 飛行機乗りが夢だった 1944年(昭和19)6月、日本はマリアナ沖海戦に敗れてサイパンが陥落し、絶…
  3. 激戦のフィリピンで6年 日米開戦直後の1941年(昭和16)12月22日、日本は米軍の支配下にあっ…
  4. 空襲に怯え、悲痛な思い 大戦末期、空襲に怯え、悲痛な思いをした御坊市島の竹田(旧姓=山﨑)玉枝さん…
  5. 根室空襲、艦載機が猛爆 大東亜戦争末期、制海権を失った日本は北海道まで米軍に押し込まれ、1945年…

日高地方などのイベント情報

現在予定されているイベントはありません。

Twitter

書籍レビュー

  1.  元アニメーターで江戸川乱歩賞作家、真保裕一の「行こう!」シリーズ最新作。今年5月に文庫化されました…
  2.  今回紹介するのは2005年に発行された推理小説家石持浅海の「君の望む死に方」。前作の「扉は閉ざされ…
  3.  映画「ソワレ」が御坊でも好評上映中ですが、タイトルは「夜会」を意味する言葉。そんなタイトルの司馬遼…
  4.  主演ドラマ「半沢直樹」の新シリーズが大ブレイク中の俳優、堺雅人。テレビ雑誌で連載したエッセイ集をご…
  5.  霊感はさほど強くないはずだが、なぜか奇妙な出来事に遭遇してしまう。本作はノンフィクション作家の著者…
ページ上部へ戻る