読書がくれる一生の宝

 10月27日から今月9日までの 2 週間は「読書週間」。小6・中3対象の学力テスト1位の秋田県では読書活動を推進しており、中学生の読書率(1カ月1冊以上本を読む生徒の割合)も全国1位だった。和歌山県はどうかと調べてみると、中学生は46位、小学生は45位。順位がすべてではないとはいえ、本に親しむ子どもたちの割合が全国で2番目、3番目に少ないのは残念な気がする。
 筆者の中学生の頃は、海外ミステリーに夢中になっていた。きっかけは他愛もないことで、登場する探偵のファンになったからだ。最初に読んだのがホームズシリーズ。眼光鋭く常に冷静で理知的、時にユーモアも忘れない名探偵のとりこになった。続いて学校の図書室でアメリカの名探偵エラリー・クイーンに出会い、頭がよくて快活な青年探偵に魅せられた。図書委員で読書部員だったので毎日図書室に通いつめ、クリスティやクロフツなど並んでいた少年向けミステリーはほぼ読破した。至福の時間であった。
 小学校時代には父の買ってきた少年探偵団シリーズや落語の本が身近にあり、「読むことは楽しい」と刷り込まれていた。もっとも筆者の場合は本好きを通り越して活字中毒になってしまい、秋田県の子ども達とは違ってそれを学校の勉強に還元できず国語以外ほぼ壊滅状態。これはこれで困った話であった。
 成績が上がるなどと期待して子どもに読書を勧めても、そううまくはいかないかもしれない。しかし、そんな観点とは違うところに読書の価値はある。好奇心や熱中力というその宝は、一度手に入れると失われることがない。教育的効果とも教訓とも無関係な、子どもにとってただ楽しい読書にこそ大きな意義がある。 (里)

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