生きることの素晴らしさ
- 2013/11/29
- 日高春秋
本紙3面(みなべ・龍神版)で幼児を紹介する「おませさん」というコーナーがある。母親らに子どもの性格や興味を持っていることなど取材し、毎週木曜日付で記事にしている。どの親も子どものちょっとした行動もきちんと観察しており、「そのことについては分からない」という答えは決して返ってこない。「子どもが将来、どんな風に育ってほしいですか」と質問すると、大抵が「元気に健康に育ってくれれば」と答える。
母親は妊娠により体の自由が制限され、出産という苦痛の末に赤ちゃんが誕生する。生まれたばかりの時は泣くだけの存在で、自分の時間を犠牲にしてまで育児に専念する。まさに見返りを求めない無償の愛情を注いでいる。命を受け継ぐという本能的な行為なのだろうか。
去る14日に田辺市内に住む高校生がマンションから飛び降り、命を絶った。この高校生には人には言えないほど辛い経験があったのだろうが、いままで大切に育ててきた両親の気持ちを察すると、やり切れないショックだったに違いない。「勉強しなさい」「生活態度を改めなさい」と叱っても、親にとって子どもは宝。生きてさえいることが何よりの幸せなのかもしれない。
来月11日にみなべ町で人権研修会が開かれる。講師は前熊本市人権教育講師で、元アナウンサーの道元真弓さん。不妊治療の末にやっと授かった娘が世界で数十例という病気にかかり、8歳という幼さで他界した。これだけでも涙が出てくるような話。講演では命の重さ、感謝の心を語るという。
12月4日から11日までは人権週間。生きることの素晴らしさをこの機会に改めて考えてみてはどうだろう。 (雄)