知る努力が詐欺被害を防ぐ
- 2013/11/17
- 日高春秋
「かあさん、オレだけど…」、「○○かい。どうしたの」。詐欺電話の元祖といえるだろうか、この手口にだまされる人が急増し、「オレオレ詐欺」と名付けられたのはちょうど9年前、2004年11月のことだ。一昔も前から気をつけようと呼びかけても、いまだに被害は後を絶たない。手口は巧妙化し、数年前からは弁護士役など複数人が交代で電話する「劇場型」が主流。最近ではギャンブル必勝法を偽る詐欺が横行している。
一つを紹介すると、ロト6の当選番号が当たるとかたる手口。「ロト6の当選番号を教えます」と電話があり、番号を伝えて「あすの朝刊でチェックしてみてください」などと言葉巧みに伝える。そんな当たるわけがないと思っている被害者が朝刊を見てびっくり。なんとすべて当たっているではないか。すっかり信じこんでしまい、情報料名目の現金を支払うというもの。ではなぜ当選番号が分かったのか。答えは簡単、ロト6の抽選は朝刊に掲載される前日(月、木曜日の夜)にインターネットで発表されている。このタイムラグを利用して電話しているだけのこと。だまされない人がほとんどだろうが、実際に被害が出ている。
詐欺罪で服役中の受刑者に取材した記事によると、一人暮らし、インターネットを利用しない、65歳以上の高齢者の3つの条件に合う人がだましやすい人だという。自分には当てはまらないから大丈夫、という考え方も危険。若い人でもだまされている。被害に遭わない一番の方法は手口を知ること。公共機関が情報提供することはもちろん、住民も知る努力が必要だろう。本紙も皆さんの知る努力に少しでも役立つよう努めたい。 (片)