政治家、神より重い医師の発言

 車の運転について元芸人の上岡龍太郎いわく、「弾を装てんし、撃鉄を起こし、引き金に指をかけた状態で日曜の心斎橋筋を歩くようなもの」。巨大な鉄の塊を数十㌔のスピードで走らせる車の運転は、その快適さの裏に本来、よほどの集中力が必要であることを思い出させるたとえ。
 毎日の生活に欠かせない電気も、日本では原子力という小さな物質から莫大なエネルギーを生む科学によって支えられている。しかしこれも、ひとたび大事故が起きれば取り返しがつかず、ここにきて小泉元首相が「原発即ゼロ」を訴え、自民党と政府に方針転換を求めている。自他ともに「変人」と認める元首相、政治家としては師にあたるこの人の政治発言には、安倍首相も苦り顔。
 変人といえば先日、美浜町で講演した中部大教授の武田邦彦氏も、資源ごみのリサイクルや温暖化対策のCO2削減は間違っていると、日本人の定説を覆す主張で人気。医療の分野では『抗がん剤は効かない』などの著書で知られる近藤誠医師も、現在の標準治療を真っ向批判する主張でベストセラーを連発する。
 がん治療では、湯浅出身の京都府立医科大大学院の酒井敏行教授が、驚異的な効果を発揮する分子標的薬を開発した。近藤医師とは真逆のスタンス、飲み屋で出会えば大喧嘩になるかもしれないが、早期発見・治療によって助かった人や闘病中の患者にすれば、「検査も治療もせず、がんは放置するのがよい」という近藤医師の主張、自分こそが正しいといわんばかりのタイトルの本は、首をかしげざるを得ない。
 エネルギー政策に関する元首相の発言も重いが、直接、人の命を預かる医師の発言は、患者にとっては神様よりも重い。強引な結論が人を不幸にしてはいないか。  (静)

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