音楽を愛する心が水脈に

 市民文化会館主催事業「tea timeコンサート」を取材した。クラシック音楽を気軽に楽しんでもらう企画で、出演は美浜町三尾出身のピアニスト、碇理佐さん。
 碇さんの演奏を初めて聴いたのはもう十数年も前。筆者はピアノを習ったこともなくよしあしを聞き分ける耳など持ち合わせていないが、碇さんのピアノについては「本当に楽しそうに弾く人だな」と印象に残っており、今回の演奏も楽しみにしていた。選曲は肩の凝らないクラシックの小曲が中心。うたう代わりに指が鍵盤の上を駆けていくような、生き生きした演奏を楽しませてもらった。曲紹介の短いトークなど、休憩時間のお菓子や飲み物と共に、観客にひとときを楽しんでもらおうという心配りの感じられるコンサートだった。
 話は変わるが、中西忠さん(由良町)の連載「ここに泉はなかった?」が、先月8日付で全55回をもって終了した。半世紀以上に及ぶ中西さんの音楽活動、ひいては御坊日高のアマチュア音楽史を物語る貴重な記録となった。タイトルは、群馬交響楽団の草創期を描いた映画「ここに泉あり」から。ここ御坊日高では、群馬のように音楽文化が豊かに泉のように湧きだすことはなかった…ということだが、「?」付きで、判断への猶予は残されている。
 中西さん達の長年にわたる小学校巡回などの活動が当時の子どもたちの心に音楽への親しみの種をまいたように、tea timeコンサートのような身近なイベントでのクラシック体験も、音楽を愛する心が地下水脈のように人々の心をうるおす助けにはなるのではないかと思う。それは道筋さえつけば、泉のようにあふれ立つだろう。 (里)

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