裁判員裁判の民意とは

 「民意を問う」、選挙戦でよく聞く言葉である。最近では「大阪都構想」を掲げる大阪維新の会の橋下徹大阪市長、少し前は「郵政民営化」の小泉純一郎首相が民意、民意と叫んでいたイメージが強い。全員が同じ方向を向くことは危険なことであり、ありえないことだが、多くの国民の思いは当然、政治を行う上で最も重視されるべきこと。実際、これまで民意はある程度反映されてきたし、これからも社会を動かしていくのは間違いない。国民の考えをよりよいものにし、よき方向に導く、それが行政や政治家の仕事だろう。
 それは当然、司法でも同じはずだ。先日、一審の裁判員裁判で死刑判決が出た事件の控訴審で、裁判官が無期懲役の判決を下したことが大きく報道された。そもそも4年半前の平成21年5月に始まった裁判員制度は、なぜ導入されたのか。法務省のホームページには、国民が裁判に参加することによって、「みなさんの視点、感覚が、裁判の内容に反映される」と明記されている。「裁判が身近になり、司法に対する信頼が深まると期待されている」ともあるが、民意を反映した判決を覆して信頼など得られるはずはない。しかもこの事件の被告は、別の強盗致傷事件で出所して1カ月半後、若い女性の命を奪うという強盗殺人を犯した。死刑以外にないという意見が圧倒的だろう。
 あと1カ月もすれば、来年度の裁判員候補者がランダムに選出され、本人に通知される。裁判員の精神的負担を問題視する意見も出ている。どんなことにもメリット、デメリットはつきものだが、制度を検証してよりよい方法に変えていく時期だろう。候補者通知が手元に届いたら、あなたは何を感じますか。 (片)

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