日高町の奇祭クエ祭 今秋から形態変更

 日高町阿尾、白鬚神社(若田正孝宮司)の秋の祭礼クエ祭で、一番の見せ場の「クエ押し」が今秋から廃止される。少子高齢化が急激に進む中、参加者の負担軽減を図って祭礼をできる形で継続していこうと実施主体となる地元区で協議した結果、正式に決まった。クエ祭は江戸時代から数百年続く伝統行事。県無形民俗文化財に指定され、町の観光資源の中心にもなっている。全国的に奇祭として知られるゆえんの呼び物が姿を消せば、祭り自体は続けられても周辺に大きな影響を与えそうだ。
 阿尾区の木村泰史区長や白鬚神社の上出貞和総代長らによると、祭礼挙行方法の変更はことし5月中旬から区の役員、神社総代、若田宮司の計13人で協議。「少子高齢化の著しい進捗により旧来通りの祭礼を挙行することが困難になっている事情を鑑みて、形態を変更することで祭礼の維持を考えてみよう」と4カ月ほどかけて原案を作成し、今月25日に開かれた臨時区民総会でほぼ異論なく承認されたという。大きな変更点として「クエ押し」の廃止のほか、奉納行列の縮小、祭りの準備から運営までに携わる当番の負担軽減などが決まった。
 区内の戸数は少子高齢化に加え、地元を支える漁業の後継者不足なども絡んで年々減少。現在は約160戸とされ、ピークの3分の2を下回る。クエ神輿の準備からクエ押しにも参加して祭礼行事を担う当番の13人は毎年男性73歳、女性70歳以下を対象に持ち回りで選出されるが、ここ数年はなり手を探すのにひと苦労。クエ押しに参加する45歳以下の若衆も少なくなり、ここ数年10月の3連休に実施するなど日程を変更して参加者確保に努めてきたものの、昨年までと同じ形態での祭礼実施が困難と判断された。
 木村区長は「参加者の負担をできるだけ軽減し、祭礼の維持を大前提に今秋から挙行方法を変更します。ことしはこの形態でやってみて、不都合や変更があればみんなで考えていきたい」と話しており、今後区民から声が上がればクエ押し復活の可能性も残っているようだ。
 昨年までのクエ祭は午前10時半ごろからお渡りが始まり、神置きの当番衆宅から神社まで奉納行列。神社の鳥居周辺に到着したあと、クエ押しがスタートする。クエ御輿を早く神前に運んで祭礼を終了しようとする当番衆と、それを阻止する奇抜なメークや衣装の若衆が荒々しくぶつかり合うクエ押しが最大の呼び物。多くのアマチュアカメラマンらでにぎわい、町のPRにも一役買ってきた。ことしは10月12日宵宮、13日本祭りの日程。お渡りは午前10時半ごろから始まるが、クエ神輿や女装した男性の桝取りなども出ない。神事はこれまで通り行われる。

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