不景気とUMA研究者の悲哀

 最近は警察官が痴漢をしたり飲酒運転をしてもあまり驚かないが、ニュースはやはり単純に話が不可解で不気味であるほどおもしろい。テレビ局も夏休みに入り、こうも景気が悪いと番組制作経費も節減が求められ、手軽なミステリーが重宝される。
 新聞の番組欄。ゴールデンタイムは「深海の未知の巨大生物」「ついに発見!?  宇宙人の死体」といったコピーがやたらと目に止まる。先日、このところ研究が再燃しつつあるという新聞(囲み)記事につられ、「ビッグフット」の特集番組を見た。
 ビッグフットは全身毛むくじゃらで身長2、3㍍、二足歩行をするUMA(未確認動物)で、北米で目撃情報は後を絶たないが、決定的な証拠は見つかっていない。番組は肯定、否定の双方の専門家に話を聞きながらも、使える素材は山で歩く姿をとらえたという有名な映像(パターソンフィルム)とでっかい足跡ぐらい。わずか30分ほどの番組で、足跡の分析にだらだら尺をとられては、視聴者も眠気に勝てない。
 人は、行方不明になった肉親の死や恋人の浮気など、認めたくない事実を示す状況証拠が多いほど、「そんなはずはない」とわずかな可能性にだけ目を向け、精神のバランスをとろうとする。その点、ビッグフットも多くの視聴者は「存在してほしい」と願いながら、最新技術の映像分析などを見てしまうと「ありえね~」が積み重なり、元の映像と足跡を何回見せられても、その差は開くばかり。
 自身の仮説を証明するために人生をかけるのが研究者。UMAやオカルトの世界では、ネタを提供する研究者はだいたいが恋人の浮気を信じたくないのと同じく、ひたすら念仏のように自説を主張、無理を重ねているようにも見え、ちょっと悲しい。  (静)

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