ハンドル握る資格はあるか

 5年前、兵庫県で当時小学5年生だった子どもが乗った自転車が60代の女性とぶつかり、女性が依然として意識不明が続いている事故で、被害者側が損害賠償を求めた裁判の判決がつい最近報道されていたが、賠償額に驚いた。自転車の少年の母親に支払いが命じられた合計額は9500万円余り。裁判所の判断は「母親が自転車の乗り方について十分な指導や注意をしていたとはいえず、監督責任を果たしていない」というものだ。自転車に乗ってしょっちゅう遊びにいっている子どもを持つ親として、考えさせられる報道だった。無鉄砲な子どもたちにしっかりいい聞かせなければ、親の責任の重さをあらためて痛感した。
 事故を起こそうと思っている人などいないが、ほんの少しの不注意で事故は起こってしまう。どこまで親に監督責任が生じるのかは場合によって違うので判断は難しいが、被害者側に立てば子どもも大人も、自転車も車も関係ない。被害を受けたことには変わりはないのだから。交通事故捜査に長年たずさわっている警察官が以前、安全講話で「被害者はもちろん、加害者、そして家族みんなの生活が一変してしまう」と事故の怖さを訴えていたのが胸に響く。
 ほんのわずかな不注意、一瞬の油断、焦り、事故の未然防止はこれらとの戦いにほかならない。自転車も含め車やバイクは一種の凶器である。それを安全に扱うための義務がハンドルを握る者に課せられる。きょう11日から夏のわかやま交通安全運動がスタートする。自分はハンドルを握る資格があるか、こんな機会にこそ見つめ直したい。わずかな不注意との戦いに負けないために。(片)

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