時代の空気を甦らせた連載

 来年に創立100周年を迎える県立日高高校。1月30日付から、隔週水曜日付の2面で百年史編集委員会事務局による「日高高校百年史こぼれ話」を連載している。今月 19 日付で、第1部に当たる「女学校の部」が終了した。
 日高高校の前身、日高高等女学校は1914年(大正3年)開校。優秀な高女生は評判が高く、学校宛に結婚申し込みが月に10件は来ていたという。「日高高女を卒業すれば嫁入りにタンス、長持はいらぬ」と言われたとか。大正14年の修学旅行は奈良や京都から鎌倉、東京を巡る、なんと10泊11日の大旅行。御坊駅もなく和歌浦まで汽船で行った時代に、今よりも豪華な旅行が敢行された。その頃、「子を産み育む女こそ運動が必要」と華やかな体育大会もスタート。明るく開放的だった大正期の空気がよく分かる。
 だが昭和に入り、暗雲が少しずつ立ち込めるように教育の場にも戦時色が濃くなっていく。体育大会は厳しい鍛錬の場に。太平洋戦争開戦の年に修学旅行は中止され、積み立ててきた旅行費も軍に献金される。教室は軍需工場となり、警報が鳴るたび鉄の重い部品を持って防空壕へ必死で走った。
 その時代に日々を過ごした人々の生の言葉からは、教科書の記述や公的な記録などからは抜け落ちてしまう「時代の空気」が生き生きと立ちのぼる。貴重な経験を語ってくださった81歳から101歳までの元日高高女生の皆さん、取材に当たられた委員の努力によって成り立った、実に意義深い連載であったと思う。読者から「毎回、切り抜いて保存している」との声も寄せられた。
 次回からは、旧制日高中学校の部が始まる。引き続きご愛読願いたい。 (里)

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