地権者のダムへの思い

 県が印南町高串地内で進めている切目川ダム本体工事の定礎式が、2日に現地で行われた。定礎と書かれた石を埋めることで、ダムの永久堅固と安泰を祈願する式典。仁坂吉伸知事はじめ国会議員、県議らが来賓として出席。地元からはダム建設のための用地提供者や地元清流小中学生ら合計約200人が参加。子どもたちの歌やくす玉割り、最後はもちまきもあり、盛大に行われた。
 現場は主要道路から離れているため、送迎用のマイクロバスが何度も往復したのだが、帰りのバスの中で聞いた元高串区民の会話が印象的だった。以前周辺に住んでいたであろう女性らで、窓から見えるもうほとんどが更地となったふるさとを指差し、「あそこら辺には何
々があったなぁ」「何々さんの家はあそこらへんだったかな。もう跡も残ってないからわからんなぁ」。懐かしそうで、少し悲しそうな表情を浮かべながら周辺を眺めていたのを覚えている。
 筆者が印南町を担当するようになったころには、すでに用地交渉は終わっており、建設に向けた動きが進んでいたが、長年にわたり地元の地権者との交渉が続いていたことを耳にする。式典の終わりに元高串区長の堀清宏さん(65)は「いろいろありましたが、やっとここまできたかという思いです。ダムにより切目川が氾濫せず、下流の方が安心できることを願いたい」と話していた。
 ダムは現在コンクリートの打設を進めており、平成26年度中の完成、27年度から供用を開始する。住み慣れたふるさとをやむなく手放した協力住民のためにも、数世紀にわたって地域の安全・安心に貢献してほしい。 (城)

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