南海トラフ巨大地震対策 WGが最終報告

 政府の中央防災会議南海トラフ巨大地震対策検討会議の作業部会(WG)が28日、 マグニチュード9クラスの巨大地震対策の最終報告書を公表した。 昨年8月の第1次報告、 ことし3月の第2次報告を踏まえ、 発生頻度の極めて低い超巨大地震と発生頻度の高い3連動地震の2つの地震に応じた対策が必要とし、 内容は全体的に、 同じ考えで対策を先行している和歌山県の方針を後押しする形となっている。
 内閣府は昨年8月の第1次報告で建物や人的被害等、 ことし3月の第2次報告で施設や経済的被害等の推計結果を公表。 発生頻度が1000年に1回、 またはそれより低いとされるM9クラスの最大級の地震が起きた場合、 震度6弱以上、 または浸水面積が10㌶以上 (深さ30㌢以上) となる市区町村は30都府県の734市区町村に及び、 死者・行方不明者は全国で最大約32万3000人、 和歌山県の地震や津波による死者数は最大約8万人に上ると推計されている。
 今回の最終報告では、 過去に発生した記録がない最大級の地震・津波を前提として対策を進めることは現実的ではないとし、 100~150年周期で発生しているM8クラスの3連動地震への対応を基本として考え方を整理。 津波対策は3連動の津波を対象として海岸保全施設等を整備するが、 構造的には津波の越流も想定した粘り強いものとすることが重要で、 最大級の地震の津波は 「命を守る」 ことを目標に避難、 情報伝達、 避難施設等のハード、 ソフト両面の対策が必要としている。 また、 最大級の地震の津波について、 避難が困難な地域で住民にコンセンサスがある場合は、 「住居等の集団移転を行うことも有効」 としている。
 避難に関しては、 時間と余力のある限り、 より安全な場所を目指すよう、 避難場所・施設の危険度、 安全度を明確にし、 ハザードマップ等への表示等が必要。 避難場所や避難路、 避難ビルの整備は最大級地震の津波への対応が基本ではあるが、 時間がかかることから、 県や市町村は暫定的な措置として、「最低でも発生頻度が高い3連動地震の津波に対応できるよう、 少しでも高い避難場所の確保と避難路の整備等を着実に進めなければならない」と記している。
 孤立集落への対応ではヘリの不足が予想されることから、 集落規模に応じて自活できる1週間程度分の水や食料、 医薬品、 生活物資等の備蓄の必要性を強調。 各家庭についても、 食料や水、 乾電池、 カセットコンロ、 簡易トイレなど1週間分以上の備蓄の推進を求めている。
 ほか、 ▽高速道路のミッシングリンク (未接続区間) の解消、 耐震化▽災害時要援護者の適切な避難支援▽学校の防災教育の充実▽スマホアプリ等を活用した観光客らに対する避難路・避難所情報の周知▽古い空き家等の倒壊による道路寸断に備えた対策なども示されているが、 これらはどれも和歌山県が先行する形で対策を推進している。
 津波からの避難が困難な地域の対策については、 県内では平成20年度で8市町33地区が対象となり、 その後、 避難タワーの整備等で3市町16地区が解消された。 今後、 残る5市町17地区について新たに公表された津波浸水深の想定等を基に対策を進めていく。 それにあわせ、 県は 「集団移転は発生頻度の高い3連動地震の津波に対しても、 どうしても避難が難しいと考えられる地域で取り組みを進めていく」 という。
 県総合防災課の松尾孝志課長は 「今後、 政府はこのワーキンググループの最終報告を基に対策大綱づくりを進めるが、 全般的に和歌山県が従来から取り組んでいる防災・減災対策の総点検と同じものが多い。 とくに、 避難場所の安全度レベルの設定は、 すでに和歌山県は市町村と県が3段階の設定を行っており、 多くの部分で県の施策が後押し、 裏付けられる内容となっている」 と話している。

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