生きた知識を身につけるために

 干潟、ときいてどんなイメージを持たれるだろうか。ムツゴロウが生息する諫早湾などが有名だが、我々の身近にも絶滅に瀕する生物のいる貴重な干潟がある。夏にはハマボウの群生が花を咲かせる、日高川河口だ◆干潟は特殊で多彩な生物相を持つ自然環境だと知ってはいたが、あらためて認識したのは、先日取材した紀央館高校理科課題研究発表会のおかげだ。2年生31人が、片方のハサミが大きいカニのシオマネキ、魚類なのに泥の上で暮らすトビハゼ、海水を浄化する貝類、御坊市の天然記念物ハマボウについて研究発表した◆はだしで干潟の泥に入り、カニや貝を手に取ってみる。大きさを計り、じっくり観察する。つかまえたトビハゼを校内で飼育する。貝が本当に海水を浄化するのか、ハマボウがどんなに塩分に強い植物か、実験で試してみる。そうやってじかに接することで、小さな生き物や植物達が干潟という特殊な場所で強く生きていることを実感したのだろう。「干潟を増やすのは不可能に近い。私達にできることは、今ある干潟をなくさないようにすること」との言葉には説得力があった。「干潟は大切な自然環境なのだから大切にしよう」と教科書などで読んでも、その時が過ぎれば一瞬で忘れてしまう。足を運び、自分の手で触れてみて初めて本当に理解できることは確かにあるのだと思った◆今回の研究では、全校生徒と教職員対象のハマボウの知名度調査結果も報告された。「ハマボウを知っている」は生徒で17%、教職員で47%。市の花木だがあまり浸透してはいないようだ。地域の環境に関する情報を生きた知識にするためにも、まずは身近な自然を見つめるところから始めてみたい。  (里)

関連記事

フォトニュース

  1. 花言葉は「楽しい思い出」

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 乳飲み子抱え上海から引き揚げ 御坊市島に暮らす98歳の嘉美(よしみ)さんは、1921年(大正1…
  2. 34年前、活字にならなかった一冊の本 活字の本として出版されることのなかった、一冊の戦争体験集…
  3. 船団護衛の海防艦で南方へ 1923年(大正12)8月19日、夏目英一さん(95)は日高郡旧野口…
  4. 千人針と250人分の寄せ書き発見 「あれ、これは何やろ」 1999年(平成11)8月、母の薫(か…
  5. 飛行兵志願も母が反対 小瀬輔造さん(89)は1930年(昭和5)1月7日、日高川町…

日高地方などのイベント情報

現在予定されているイベントはありません。

Twitter

書籍レビュー

  1.  「悪人」「怒り」等、多くの作品が映画化されている吉田修一。最新の映画化作品は藤原竜也、竹内涼真ら出…
  2.  週刊少年ジャンプに連載中の漫画「Dr.STONE(ドクターストーン)」を紹介します。  …
  3.  短歌をやっている母の本棚に20年ほど前からあった著者のサイン入り歌集ですが、今回初めて中身を読みま…
  4.  「バイバイ、ブラックバード」を読むと、原典に当たる太宰治の「グッド・バイ」が読みたくなったので、文…
  5.  作者の生まれは明治18年。明治45年に執筆され、初版は大正10年とかなり古いですが、繊細な描写が特…
ページ上部へ戻る