日本語の魅力、自己表現の魅力

 ことしも、御坊ライオンズクラブ主催の「日高地方子ども暗唱大会」を取材した。初回だった昨年と比べて参加人数もチームも増え、個人と群読合わせて60を超えるプログラムが発表された◆暗唱される文学作品を聴くのは活字で読むのとは違い、表現する人の感性もそこに表れる。題材は、国語の授業で習った詩や古典文学、小説の一節、万葉集に百人一首、ポップスの歌詞、落語、現代詩、童話とさまざま。変わったところでは、江戸時代の津波災害の伝承碑文もあった。文学作品で特に人気のあった作家は宮沢賢治、谷川俊太郎、夏目漱石。複数の個人や団体が題材に選んでいた◆ビリー・バンバンの「また君に恋してる」が坂本冬美という歌い手の個性と魅力でさらにヒットしたように、同じ曲でも違う歌手がカバーすると新たな表情が表れる。「吾輩は猫である」も、ストーリーを語り聴かせるようにテンポよく暗唱する方法と、言葉そのものを味わうようにゆっくり語る方法では、聞き手に与える印象は変わる。「風の又三郎」の一節も、動きや勢いを重視する語り方、リズムを重視する語り方と、それぞれに違った個性が表れていた。「手紙」や「春よ、来い」などの歌詞も、歌として聴くのとは全く違う印象で新鮮だった。賞を受けた暗唱は総じて、作品自体の持つ心と表現したい心の強さがうまく融合して、聴く人の心を打ったと思う◆宮沢賢治や谷川俊太郎がクリエイター、子どもたちは作品の心を独自の解釈で表現するプレイヤー。暗唱も、演奏や演劇のように立派な舞台芸術になり得る。日本語の美しさに加え、作品に乗せて自分を表現する楽しさをも知ることのできる、意義深い大会であった。      (里)

関連記事

フォトニュース

  1. 今年で25年目です

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 出撃直前、さくら弾機が炎上 極秘扱いで「知られざる特攻機」とも呼ばれたさくら弾機は、直径1・6㍍、…
  2. 飛行機乗りが夢だった 1944年(昭和19)6月、日本はマリアナ沖海戦に敗れてサイパンが陥落し、絶…
  3. 激戦のフィリピンで6年 日米開戦直後の1941年(昭和16)12月22日、日本は米軍の支配下にあっ…
  4. 空襲に怯え、悲痛な思い 大戦末期、空襲に怯え、悲痛な思いをした御坊市島の竹田(旧姓=山﨑)玉枝さん…
  5. 根室空襲、艦載機が猛爆 大東亜戦争末期、制海権を失った日本は北海道まで米軍に押し込まれ、1945年…

日高地方などのイベント情報

現在予定されているイベントはありません。

Twitter

書籍レビュー

  1.  みなべ町の高城小学校(原啓司校長)で21日、「高城ロックンロールフィールド」が開かれ、1980~9…
  2.  還暦を過ぎても精力的に新作を発表し続ける東野圭吾。木村拓哉と長澤まさみ主演で映画化もされた人気シリ…
  3.  1945年8月15日正午、天皇陛下がラジオで国民に向けて終戦の詔書を読み上げ、国民はこのいわゆる玉…
  4.  テレビで見ない日はないぐらい、ニュースを視聴者に分かりやすく解説してくれるジャーナリスト池上彰氏。…
  5.  元アニメーターで江戸川乱歩賞作家、真保裕一の「行こう!」シリーズ最新作。今年5月に文庫化されました…
ページ上部へ戻る