過剰な予防線の社会

 コンビニでタバコを買う時、レジでタッチパネルを押さなければならない。「20歳以上ですか」。いわゆる年齢認証という行為。39歳のおっさん。絶対に18、19歳に見えるわけがなく、いつも「めんどくさいし、もうええやろ」との気持ちにさせられる。それに仮に老けた19歳の人が平然と画面をタッチすれば、タバコが買えるのではないかという疑問も残る。店員が年齢を確認するきっかけ、未成年者への抑止などのメリットはあるようだが、年齢確認ならもっと有効で確実な手段があるのは間違いなく、実際はコンビニ側の、うちはちゃんとやってますという予防線、お断りに利用されていると感じてならない。
 「予防線」は、あふれかえっている。タバコには「喫煙は、あなたにとって肺気腫を悪化させる危険性を高めます」と表示。車検代を振り込みに行った時は振り込む側に「身分証をコピーさせてもらってもよろしいでしょうか」。ニュースでも取り上げられた格安航空会社の客へのサービスでは「従来の航空会社のような丁寧な言葉遣いを義務付けておりません」。サービスを提供する前の提供者側の過剰な予防線は、何か一大事が起こった場合に「きちんと事前に知らせてます」と提供者側の責任逃れに通じる可能性もあり、これ以上広がりすぎるのを心配してしまう。
 予防線が当たり前になり、それが社会で認められると政治家にも利用されかねない。次期衆院選のマニフェストでこんなことが小さく、隅っこに書かれているかもしれない。「これは野党時代のマニフェストであり、政権についた場合は諸般の事情で実現できない施策もありますのでご了承下さい」。いまの時代、本当にありそうなので恐ろしい。 (賀)

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