女性登山家の生き方に感銘

 第4回市民教養講座、登山家・田部井淳子さんの講演を取材した。当日は73歳の誕生日。その年齢を感じさせない、はつらつと張りのある声音が印象的だった。女性初のエベレスト登頂者という輝かしい記録を持ちながら、講演後の映像解説でさらりと触れただけ。講演はそれよりも「いま」を語った
 ◆福島県三春町、という田部井さんの出身地には聞き覚えがあった。桜について調べた時に淡墨桜、神代桜、滝桜という日本三大桜を知ったが、滝桜のあるのが三春町。田部井さんによると梅・桃・桜が一斉に咲くところからきた町名だそうだ。その福島県は3・11以降、風評被害等で淋しい状況になっている
 ◆被災者のため無理のないコースを計画し、初心者向けの登山体験を提供。自然に触れることによって生きる力を取り戻してもらう。今なお世界各国の最高峰に挑み続ける田部井さんだが、広い世界への視点を持ちながら同時に自身の原点である故郷を思い、故郷のために得意分野を生かしできることをしている
 ◆山での携帯食として、塩漬けの青ジソにくるんだ干し柿が気に入っていること。70歳になった時、同級生達の熱意にこたえて富士山での同級会を実現したこと。最近シャンソンを習い始め、コンサートまで開いてしまったこと。豊富な話題が次々飛び出す。「あしたはこれがある、っていう生活はいいものです」と明るく話す田部井さん。過去は過去と割り切り「いま」と「先」をしっかり見据えて生きる、「現在進行形」の女性なんだな、と感銘を受けた
 ◆講演の最後には三春町の滝桜の映像が紹介された。滝のように白い満開のしだれ桜は、田部井さんの生き方のようにすがすがしく目に映った。
       (里)

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