台風12号の教訓生かせ

 ちょうど1年前の早朝、「日高川が氾濫して大変なことになっている」と同僚からの電話で目を覚まし、一体どんな状況になっているのかと不安な気持ちでいっぱいのまま国道を走らせたのをいまでもはっきり覚えている。中津方面へ車を走らせたが、玄子地内で県道が冠水して足止め。別のルートで中津地区に入ったとき、すでに水位が下がっていたが、橋の欄干にがれきが大量に引っかかり、県道沿いの民家は土砂にまみれ、住民が泥をかき出していた光景ははっきりと脳裏に焼き付いている。夕方、ようやく美山地区にたどりついたとき、テレビで見た東日本大震災の映像とだぶった。
 この1年でまちは大部分が復旧した。まだ至る所に爪痕は残ったままだが、穏やかな日高川を眺めながら県道を走っていると、悪夢のような水害がわずか1年前に起こったとは思えないほどだ。元の生活を取り戻された被災者の方々もたくさんいるだろう。半面、農地や果樹の被害を受けた農家の方々にとっては復興などまだまだ先。同じ町民でもいろんな思いがあふれた1年。筆者は個人的に、いまだ不安をぬぐえないのが正直な思いだ。元通りに戻りつつあるが、堤防の高さなど本当に元通りでいいのだろうか。数十年に一度の雨量だったかもしれないが、またいつ起こるとも限らない。被害が繰り返されないことを祈るしかないのか。
 そしてもう一つ、日高は一つになったのか。いざというとき、互いに支援し合う態勢を整えておく必要があることを、1年前に教えられたと思う。南海トラフ巨大地震も懸念されるいま、備蓄や物資の搬送など、各市町単位ではなく、周辺市町と連携した取り組みを考えたい。   (片)

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