老いに気づいたら引退を

 先の夏場所は千秋楽まで平幕2人と大関1人がトップで並び、最後は稀勢の里が敗れ、平幕同士の優勝決定戦は旭天鵬に軍配が上がった。横綱白鵬がまさかの5敗、大関琴欧州が千秋楽に休場を届け、栃煌山が不戦勝で決定戦進出となったのは優勝争いに水を差したが、ことしに入って栃煌山、栃乃若、隠岐の海、松鳳山ら若手が伸びてきており、日本人力士が土俵を沸かせることが多くなってきたのはうれしい。
 ベテランが引退するのはさみしいが、明らかに選手としてのピークが過ぎているにもかかわらず、惰性で現役を続けている方がファンの目に悲しいものがあるのも事実。過去の実績から確かに人気はあるものの、野球でいう「代打の切り札」はある意味、ロートルの代名詞でもある。いろんな競技の五輪代表が決まるなか、決め手はやはり「いま、一番強く、速く、力がある」が基準であってほしいし、そうでなくてはいけない。
 人間である限り老いは避けられない。30、40、50と年を重ねるうえで、肉体とともに頭の回転も衰える。俳優ならばまだ年相応の役どころもあろうが、歌手は声、外科医は目と集中力、お笑い芸人は瞬間的な発想(ボケ)にスピードとパワーがなくなれば潮時。夭折のカリスマ尾崎豊ではないが、芸能人やプロスポーツ選手は惜しまれつつも引退した方が、若く美しく、絶頂期の姿だけが人の記憶に残る。
 ファンの期待というプレッシャー、それにこたえていく責任と体力、気力は相当なもの。とくにその世界のトップ、リーダーともなれば、心身ともよほどタフでなければ現役で走り続けることはできない。老いを自覚できず、責任感のない人は別だが。   (静)

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