目にも心にも効く5月の緑

 日本語では、「青」という言葉はしばしば緑をも指す。青野菜、青葉、青田、青竹、青リンゴ等々。5月の季語には「青嵐」という言葉がある。青葉の茂る頃に吹くやや強い風を意味する。 新緑からだんだん色の濃さを増す、今の季節の山々を見ていると、 この言葉を思い出す
 緑を眺めながら車を走らせるのが好きだ。 特に山あいの道がいい。 植物によって微妙に色調が異なるさまざまな緑色が、 目を楽しませてくれる。 緑の中をどこまでも伸びていく道路に視線を預けてハンドルを握っていると、 いろんなことが頭に思い浮かんでくる気がする
 「緑は目にいいから、本を読んだあとは遠くの山を見なさい」と昔からよく言われてきた。 色彩心理学でも、 緑は癒やしの色として位置づけられているようだ。 この色が心身に及ぼす効用にはどんな医学的根拠があるのだろう、 と調べてみる気になった。 ところがネットでいくら検索しても、 どうも明確な論拠に行き当たらない
 「遠くの緑を見るのがいい」というよりは、 近くを凝視し続けていた目を休めるには遠くを見るのがいいということで、 緑である必要はない。 また、 あえて言えば緑は波長が長くも短くもなく中間なので、 目に負担がかからないのではないか、 など。 特に緑を見ると目にいいという論理は探し当てることができなかった
  「青」 という字を漢和辞典で調べると、 下の部分は井戸の中の水を表す。 そして上の部分は、 植物の芽吹き。 青が緑をも表すのは字義にかなっているといえる。 生い茂る緑は自然の生命力そのもの。 あおあおと緑が風に揺れる野山を視界に収めるのは、 もしかしたら目よりも心に効くのかもしれない (里)

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