御坊で啄木の妻の一人芝居

 岡本博子ふるさと公演実行委員会(柳瀬邦弘委員長)主催、本紙後援の劇団「波」公演、「啄木の妻 節子星霜」は19・20日、市民文化会館小ホールで上演。貧困の中で啄木を支え、死後は遺稿を守って出版に貢献した妻の節子を、大成中・南部高出身の女優岡本博子さん(山口県在住)が一人芝居で演じた。19日夜には約200人が来場し、岡本さんの渾身の演技に胸を熱くして見入っていた。
 ことし4月13日で没後100周年を迎えた夭折の歌人・石川啄木の苦悩と成長を、 妻の視点で描いた劇。 19歳の節子と啄木は文学への理想に燃え、 家族の反対を押し切って結婚。 だが作品は思うように売れず、 さまざまな事情があって一家は故郷を離れ、 各地を転々としながら食費にも事欠く貧しい暮らしに陥る。 幼い娘を抱え、 心を開いてくれない姑や生活を省みない夫との葛藤 (かっとう) の果てに、 ついに娘を連れ家を飛び出す節子。 啄木は大きな衝撃を受ける。 生後間もない長男の死など幾つもの試練を経て、 やがて2人の間には揺るぎない愛と信頼が取り戻される。 肺結核と闘いながら人々が本当に求めるやさしい短歌を詠み、 不穏な時代に警鐘を鳴らす評論を書くなど、 命を削るように創作活動に打ち込む啄木に、 「節の心はもうあなたから離れることはありません」 と誓う節子。 ひたむきに、 けなげに夫を支え続ける姿に涙する観客もみられた。
 物語の進行に合わせて、 「はたらけどはたらけど猶わが生活 (くらし) 楽にならざりぢっと手を見る」 「たはむれに母を背負ひてそのあまり軽きに泣きて三歩あゆまず」 など今も多くの人に愛される名歌がスライドで紹介された。 啄木が27歳で、 節子がその翌年28歳で亡くなったとのナレーションには驚きの声が上がっていた。
 終演と同時に満席の会場からは熱い拍手が湧き起こり、 南部高校時代の同級生2人が花束を贈呈。 岡本さんは目を潤ませて受け取り、 マイクを手にして 「ふるさとの多くの皆様が応援してくださったおかげでこの公演が実現できたことに、 生涯の幸せを感じています」 と感謝の言葉を述べた。

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