椿山ダムのしゅんせつも急務
- 2012/4/14
- 日高春秋
昨年9月の台風12号水害から7カ月余り。 日高川町皆瀬地区で被害に遭った自宅の修繕工事がようやく終わり、 居候させてもらっていた野口の嫁の実家から自宅へ帰ることになった。 全て流された家財道具はぼちぼち集めていくとして、 とりあえずひと段落。 この間、 会社の上司や同僚、 親戚、 友人、 取材先の人らに多大なご恩を受けたことを、 誠に失礼ながら紙面をお借りして深く御礼申し上げたい。 失くしたものはたくさんあったが、 皆さんの思いやりや優しさという何物にも代えがたい素晴らしい財産を得た気持ちだ。
思い返せばあの9月5日の早朝は言葉を失くした。 避難していた皆瀬坂から下りてきて、 眼前に広がる日高川の凄まじい様子はいまも鮮明に脳裏によみがえる。 水位は何倍、 何十倍にも上昇し、 赤茶色の濁流が橋を壊し、 川沿いの道路や民家を飲み込んでいた。 ぼう然としながら遠くの方に目をやると、 2階近くまで激流で水没している自宅が見えた。
当たり前だが、 こんな経験は二度としたくない。 そのための町や県の対策には大いに期待するところ。 そんな中、 県は水害を防ぐ要となる椿山ダムの新たな運用方法をまとめた。 これまで大雨時でも一定確保していた発電用の水を全て吐き出すことで、 ダムの治水能力を高めるそうだ。 どの程度の効果が期待できるのか分からないが、 台風12号のときのような大雨が降っても、 多少なりとも被害は軽減できると考えられる。 ただ、 一つ思うのは、 台風12号の水害でダム底には大量の土砂が堆積していると聞く。 これをしゅんせつして取り除かなければ、 ダムが本来持つ治水能力は発揮できない。 こちらも早急な対応を望む。 (吉)