春という季節に思うこと

 3月の旧名、弥生には草木がいよいよ生い茂る季節という意味がある。花見月、夢見月など美しい異称のある月だが、この時期は気候がなかなか安定しないのが難点だ◆ようやく暖かくなってきたかと安心していると「寒の戻り」とかで朝夕の冷え込みに身震い、「三寒四温」を実感する日が続く。この季節は上空のジェット気流の影響で、低気圧と高気圧が日本付近を速い速度で交互に通過するため、天気も周期的に変化し温度差が激しいのだという。体調にはよほど気をつけないと、調子を崩してしまう◆昔から、一番好きな季節は自分の生まれた秋。だが色鮮やかな夏、きりりと身の引き締まる冬もそれぞれに好ましい。自分自身がはっきりしない優柔不断な性格のためか、正反対のものに惹かれる傾向がある。漢字で表すと「凛」「爽」などきっぱりと潔いもの、すがすがしいもの。春という季節は何かぼやっとした感じで、あまり好きではなかった。年度の変わり目でもあり、気候にも似て何かと気ぜわしく落ち着かない季節でもある◆だがある年の春ばかりは、その訪れが泣きたいくらいにうれしかった。前年の冬に家族が他界したが、どんな状態でも冬の次には間違いなく春が巡ってくるのだと、そのこと自体に感謝したい気持ちだった。春も好きな季節の一つになったのは、その時からだ◆寒暖を繰り返すこの季節の気候は、「禍福はあざなえる縄のごとし」を自然が象徴しているかにも思える。状況の変化に備えているうちに、だんだん暖かい日の方が長くなってくる。その恵みの大きさにあらためて気づく。光や熱はエネルギーでもある。それを十分取り入れておくためにやってくるのが、この暖かく明るい季節だ。   (里)

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