自分の命は自分で守る

 東日本大震災が起きて11カ月、もうすぐ1年を迎える。先日、防災教育についての講演があり、群馬大学大学院工学研究科、片田敏孝教授のありがたい話を聞くことができた。
 東日本大震災の津波による死者・行方不明者が1000人を超す岩手県釜石市で、小中学生2921人が津波から逃れた。学校にいなかった5人が犠牲となったが、99・8%の生存率は「釜石の奇跡」と言われている。学校の管理下にあった児童生徒に限らず下校していた子どもも多くが自分で判断し、片田さんが長年にわたって伝えてきた避難3原則を守って行動。奇跡という言葉が適当ではない気がする。
 震災当日、中学生たちが地震後すぐに「津波が来るぞ」と叫びながら避難場所へと走ったという。その中学校はハザードマップでは津波の「想定外」。同校に隣接する小学校でも屋上に避難しようとしていた児童たちが逃げる中学生の姿を見て後ろを追い、一緒に避難場所の老人介護施設へ向かった。これだけでも大した話だが、ここからがまだすごい。子どもたちは「ここも危ない」と判断してさらに高台へ。中学生が小学生の手を引き、お年寄りに手を貸した。また、別のところでは小学生の孫が、「大丈夫じゃ」という祖父に泣きつき、説得。九死に一生を得たという。
 ハザードマップや「世界一の堤防」を過信した多くの大人が亡くなっている。大人が避難せず死ぬのは自己責任だろうが、子どもが逃げなくていいという考えを持つのは大人の責任。和歌山でも近い将来大津波が襲来すると予想されている。感覚として行政依存が強い傾向にある大人たちは生き抜くことはできるか。もう一度、何度でも「自分の命は自分で守る」という意識を持とう。  (笑)

関連記事

フォトニュース

  1. 花言葉は「楽しい思い出」

戦争体験者に聞く 終わらざる夏

  1. 乳飲み子抱え上海から引き揚げ 御坊市島に暮らす98歳の嘉美(よしみ)さんは、1921年(大正1…
  2. 34年前、活字にならなかった一冊の本 活字の本として出版されることのなかった、一冊の戦争体験集…
  3. 船団護衛の海防艦で南方へ 1923年(大正12)8月19日、夏目英一さん(95)は日高郡旧野口…
  4. 千人針と250人分の寄せ書き発見 「あれ、これは何やろ」 1999年(平成11)8月、母の薫(か…
  5. 飛行兵志願も母が反対 小瀬輔造さん(89)は1930年(昭和5)1月7日、日高川町…

日高地方などのイベント情報

現在予定されているイベントはありません。

Twitter

書籍レビュー

  1.  「悪人」「怒り」等、多くの作品が映画化されている吉田修一。最新の映画化作品は藤原竜也、竹内涼真ら出…
  2.  週刊少年ジャンプに連載中の漫画「Dr.STONE(ドクターストーン)」を紹介します。  …
  3.  短歌をやっている母の本棚に20年ほど前からあった著者のサイン入り歌集ですが、今回初めて中身を読みま…
  4.  「バイバイ、ブラックバード」を読むと、原典に当たる太宰治の「グッド・バイ」が読みたくなったので、文…
  5.  作者の生まれは明治18年。明治45年に執筆され、初版は大正10年とかなり古いですが、繊細な描写が特…
ページ上部へ戻る