日本を支えるものづくり

 7日に京都の島津製作所で行われた御坊商工会議所の視察研修に同行した。島津製作所といえばノーベル科学賞を受賞した田中耕一さんがいる会社ということは知っていたが、恥ずかしながら何をしている会社かあまり認識していなかった。
 簡単にいってしまえば精密機器の開発、製造を行っている会社だが、例えばX線の撮影装置やタンパク質の質量測定装置を開発した日本、いや世界最先端の科学技術を持っている。もともと仏具製造業を営んでいた初代社長の島津源蔵氏がなぜ科学の分野に進んだのか。時代は東京遷都が行われた明治初期。そのとき京都は衰退の危機に見舞われ、欧米の最新技術の導入で復興を目指そうと、次々と産業施設が設立された。こうした状況の中、島津氏は近くの工場試験場に足しげく通って関心が高まるにつれ、「日本独自の科学技術を確立しなければならない」という思いが芽生えてきたからだという。
 また、京都には島津製作所以外にも村田製作所やオムロンなど最先端の科学技術を誇る会社がたくさんある。漆器や織物、人形など伝統工芸品が根付いていた京都の地にそういった科学分野の会社があるのは一見不思議に思うが、専門家によると、繊細な製造技術が必要という点で相通じるものがあり、精密機器を製造する会社設立の礎になったそうだ。
 いずれにしても、島津製作所がものづくりに対して貪欲に取り組んでいく姿勢に頭が下がる。常に研究、開発を繰り返し、ときには商品化につながらないようなものを開発しても、それをまた何かに利用して販売につなげる知恵と努力もある。この姿勢こそが、不況のあおりを受けず事業発展を続けていく秘訣(ひけつ)なのだと思った。      (吉)

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