国家を憂い、本分に力を
- 2011/12/2
- 日高春秋
大阪ダブル選は大方予想通り、維新の圧勝で幕を閉じた。代表の橋下前知事は大阪都構想を争点に、平松前市長ら反対派をのみ込む形で、前代未聞の知事から市長へくら替え出馬。その強引な政治手法に批判も少なくないが、「独裁」と呼ばれるほどの決断力、実行力、スピードに対し、「反独裁」「民主主義」を掲げた戦い。有権者が維新にまちの将来を託した結果、大阪府民、市民は民主主義より独裁を選んだということになるのか。
来年はアメリカ大統領選があり、ロシアも大統領がかわり、中国も国家主席がかわり、韓国、台湾…日本にとって非常に重要な国、周辺国のほぼすべてのリーダーが交代する。不気味な北朝鮮は強盛大国の門を開くといい、金日成主席の生誕100周年、金正日の古希を祝い、さらに金正日の三男正恩の生誕30周年に合わせ、3回目の核実験など不安と緊張がかつてなく高まる。
野田首相のTPP交渉参加決定により、日本は国際社会に新たな一歩を踏み出した。太平洋への進出、覇権を狙う中国に対抗していくためにも、日本は日米同盟を基軸とし、環太平洋の国々と民主主義、自由経済の連携を強めていかねばならない。閉そくの時代に生まれた政界の風雲児、橋下氏がこの先どう評価されるか分からないが、日本のリーダーである野田首相は、誤った大衆の叫びに迎合して国の進むべき道を間違ってはならない。
江戸末期、昭和の日米開戦前夜のころのように、来年は世界が超激動の年となる。橋下氏の人気はどこにあるのか。既存の政党はすり寄らずに分析、反省し、国会議員はいまこそ国家を憂い、本分である安全保障と外交を第一に能力を発揮せよ。 (静)