人の温かさに勝るものなし

 美男美女のブータン王国国王と王妃の来日で、ひときわ大きく取り上げられた「国民総幸福量」。金銭的・物質的な豊かさを追求するのではなく、精神的な豊かを目指すブータンの取り組みだ。ユニークな考え方で、約69万人の国民の実に97%が「幸せだ」と感じているという。実際に訪れたことがないので何ともいえないが、多くの国民が些細なことでも幸せだと感じることのできる、本当に豊かな心を持ち合わせているのだと想像する。物質的な豊かさを重視してきた国の人々がブータンに移住しても、すぐに幸せだと感じる人は多くはないかもしれない。長年にわたって豊かな心を持つ人を育てるための環境づくりに力を入れてきたということだろう。人の温かさに勝るものはない。自殺者が年間3万人を超える日本が、見習うべきことは多い。
 とはいえ、日本人は元来、思いやりを持った国民性である。とくに日高地方はじめ和歌山県など田舎ではまだ人を思いやる心があふれていると思う。先日の報道にあったが、東日本大震災の影響で本宮町に避難してきていた東京のステッカー製造販売会社の社長が、地元住民の温かさに触れ、本社機能を和歌山に移し、自身も移住することを決めたという。豊かな心というのは、経済活動にも大きな影響を及ぼすということだ。
 高速通信網が発達したいま、田舎でもそれほど支障なく本社機能を果たすことができる。土地が安い田舎にとっては大きなチャンスである。そこで重要になってくるのが、やはり人の心だろう。よそ者扱いする地域性は致命傷だ。観光などでの誘客でも同じこと、人が最も魅力を感じるのは、やはり温かい心とのふれあいだ。     (片)

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