独裁者は国も会社も滅ぼす

 王様の独裁に苦しめられてきた軍がクーデターを起こし、最高権力を奪い取ったあと、自らがそうならないようにと反発する勢力を武力で押さえつける独裁。チュニジアのジャスミン革命に端を発し、ことしは中東、アフリカの独裁国家で連鎖的に革命が起きた。民主化という大義の下、新たな国づくりには大国の欲望が渦巻き、宗教の対立やテロもあり、まだしばらく混乱が続きそうだ。
 いまから70年前の日本。ドイツとの同盟締結から連合国との対立は避けられなくなり、ネズミがネコに飛びかかるように、アメリカという大国に戦争を挑んだ。終戦まで3年8カ月、犠牲者は軍人軍属、民間人も含めてざっと320万人。太平洋の島々では食料、弾薬が届かず、戦死した兵士より飢えや病気で死んだ兵士の方が圧倒的に多かったという。だれがみても勝ち目のない戦い、なぜやめることができなかったのか。
 「いま、ここでやめたら、これまでの犠牲が無駄になる」「勝つと信じる国民を裏切るわけにはいかない」。大本営の本音ではあろうが、前線の兵士や国民の命を考えてはいない。そもそも、国民あっての国家、兵士あっての戦いという感覚がない時代であったにしろ、戦局が好転する見込みがまったくないなか、国民をだまし続けた末路がアラブの春の独裁者とだぶる。
 企業も社員あっての会社、従業員あっての事業。膨らむ赤字を隠し、精神論しか口にできず、側近をイエスマンで固めるトップに神風など天地がひっくり返っても吹かない。不況が長引くいま、戦局を的確に見極め、場合によっては撤退、敵に白旗をあげる決断力を持つリーダーでなければ会社は救えない。     (静)

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