浸水しない庁舎に
- 2011/10/5
- 日高春秋
先日の産業厚生常任委員会で「市役所庁舎の改築の際は小高い丘に移転すべき」との提案が急浮上した。近い将来発生が予想されている大規模地震の津波を回避するのが狙いだが、現行のシミュレーションで庁舎の浸水が確実視されている中、どうせなら浸水の危険性がない場所に建て替えるべきだというのは、当然の話だろう。
ただ、市内で移転するとなると用地の確保が大きな問題。例えば湯川町の亀山、北塩屋の工業団地付近、南塩屋の県就農支援センター周辺、全体的に海抜が高い名田町など、用地が確保できないわけではない。しかし、ただでさえ改築に20億円もかかるといっているのに、用地の造成などで一層費用がかさむ。それにさまざまな住民サービスを提供したり、市民が来庁したりする庁舎の場所的な利便性を考えると、移転は難しいかもしれない。
さらに出されていたのが「いまの場所を小高い丘にしてはどうか」との提案。「小高い丘」と表現すると少々無理があるような気もするが、例えば都心部でみかけるちょっと高い場所にある駅やホテルを想像すれば分かりやすい。建物の基礎部分を底上げして、そこにロータリーのような進入路を作ればよいのである。
市役所庁舎はもし何かあった場合の災害対策本部として住民の支援、復旧、復興にあたらなければならない。その機能は最初から津波で浸水する危険性の低い場所に置くべきである。そして何よりも、日高川河口から北上すると想定される津波に対して、名屋地区は緊急的に避難できる建物が全くない。それなら庁舎をいまの場所のまま高い位置に建設して、住民が一時的に避難できるようにするのも手だと感じた。 (吉)