地域活性化に感動を
- 2011/10/2
- 日高春秋
先月、印南町公民館で開かれた印南町区長会の研修会の取材で、限界集落の鹿児島県鹿屋市串良町柳谷地区(通称・やねだん)を立て直したことで知られる、柳谷公民館の豊重哲郎館長の講演を聴いた。
数年前からテレビなどで特集されることが多く、知っている人も多いと思うが、柳谷地区を行政に頼らず住民が一体となって活気ある集落に取り戻した。その仕掛け人が1996年に公民館長に就任した豊重さん。わずかな費用で工場跡地を整備し公園を作ったり、空き家を集落が持ち主から借り上げ「迎賓館」と名付けて宿泊施設にしたり、全国から芸術家を集めたり。また財源確保へ住民たちでサツマイモや焼酎をつくって販売、数百万円の売り上げを出し、住民に1人1万円のボーナスも出した。
講演では「やねだんに補欠はいない。地域づくりは住民の総参加が必要」と訴え、参加に消極的な人や反目者たちをいかに振り向かせるかなどを熱弁。話の中には「本気」や「情熱」「涙」「信頼」「やる気」など人間味あふれる言葉がたくさん出てきて、地域を活性化させるのは行政でなく、そこに住む人の力であることを感じさせられた。また講演の中で何度も「感動が人を動かし、地域を再生させる」と話し、感動の大切さを強調した。辞書によると、感動とは「ある物事に深い感銘を受けて強く心を動かされること」。人生において感動が生き方を豊かにしたり未来への活力となるように、地域活性化においても必要不可欠な存在である。豊重さんが一言一言を力強く声を振り絞るように一生懸命話す姿を見て、強くそう思った。 (城)