孤高の天才を支えるもの

 阪神淡路大震災の年、復興への願いを込めて、地震直後の被災地で生まれた少年の成長物語を書いた記憶がある。当時はオリックスのイチローが仰木監督の下で才能を開花させ、この年は打率、打点、盗塁、安打数、出塁率の五冠王に輝いた。あれから16年、筆者の物語では12年後、阪神の代打要員となっているはずだったのだが…。
 今季はかつてないスランプに陥り、11年連続となるシーズン200本安打も途絶えてしまいそうなペースで、先月28日には3年ぶりの6タコを記録。今月10日には256試合ぶりに先発から外れた。ふてぶてしく生意気な天才も37歳、頭には白いものが目立ちはじめ、年齢的にはオッサンだが、そんな周囲の雑音を力で黙らせるのがこの男のすごさ。翌日からは4試合連続で複数安打を放った。
 打率2割5分、スタメン落ちなど、他の選手なら普通のことが話題になる名選手も、チームはシーズン100敗を喫するほどここ数年は低迷が続いている。チームスポーツとはいえ、実際、仲間の選手との力の差も大きく、試合では大事なところで「おまえ、何やってんねん!」「やる気あんのか」の連続のはず。高いモチベーションを保ち続けられるのはなぜか。
 イチローはかつて、雑誌の取材に「本当の達成感とは、やりたいことをしっかりイメージし、自分の中で組み立て、それなら7~8割できるはずだという確信を持った中で、結果を残すこと。それができてこそ、気持ちがいいし、本当の達成感を味わうことができる」と答えた。これは野球選手だけでなく、天才でないサラリーマンにもいえる話だが、自ら目標を持ち努力する人間でなければ理解できない。  (静)

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