超最悪の想定から予測を

 先の震災のあと、富士山、伊豆大島、阿蘇山など全国の活火山の周辺で地震が多発している。報道によると、巨大地震のあとに火山活動が活発になるのは珍しいことではなく、過去には1707年の宝永地震の49日後に富士山が大噴火を起こしており、今回も噴火の前兆にあたる地殻変動こそないが、大地震の4日後、富士山の近くでM6・4の地震が起きているという。
 先日、美浜町で地震や津波の防災講演会が開かれた。和歌山地方気象台の専門官は次の東南海・南海地震について、予測はあくまで観測データや文献が残っている 「過去4回の地震だけを基に考えられたもの」であることを強調した。地球史45億年のなかで、人類が誕生して数万年、そのうち近代的科学で地震の研究を始めたのはつい200年ほど前。過去に何万回も起きたであろう南海地震も、予測というにはあまりにデータに乏しい話である。
 「未来には、単なる過去の歴史の延長によって、決して類推できない未知の暗黒もある」とは、小松左京の『日本沈没』の田所博士。南海地震も過去のデータで、ざっくりと発生時期等を予測することはできるが、過去5回より前はどんな規模でどんな地殻変動があったのか。4回の過去にそんなことが起こらなかったからといって、それが未来にも起こらないとはいえない。
 日本が沈没するなどSFにすぎないとしても、私たちが直面している南海地震は小説ではなく、現実の生死にかかわる問題。原発で支えられた自然災害大国。これから始まる防災計画の見直しも、被害予測は過去の乏しいデータを超えた直感や想像にまで広げ、超最悪の事態を想定しなければならない。   (静)

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