使命感に燃える人になろう
- 2011/3/26
- 日高春秋
いかに過酷な現場であっても、与えられたミッションをクリアするため、まさに命がけで職務を全うする、久しぶりに男の中の男の姿を見た。もちろん東京消防庁ハイパーレスキュー隊の方々のことである。被災した福島第一原発で最初に放水活動した部隊の会見には胸が熱くなった。上に立つ立場として隊員や家族を思う気持ち、無事任務を終えた安堵感、いろんな感情が入り混じった男の涙がこれほど美しいとは思わなかった。現場がどのような状態か分からない中での活動は、第2、第3隊の何倍もの恐怖感があっただろう。ましてや放射線という目に見えない敵の中での活動である。仕事とはいえ、彼らを突き動かすのは、消防隊としての誇りと使命感にほかならない。
緊急消防援助隊としてここ日高地方からも御坊市、日高広域両消防隊が現地で救急や不明者の捜索活動を展開した。隊員の話で最も印象に残ったのは、家族や同僚の安否が分からない現地の消防隊員が、必死で任務に当たっていたということだ。消防職員としての宿命とはいえ、家族を捜しに行きたい、心配で仕方ない気持ちを押し殺してやるべきことを遂行する。使命感に燃えなければできないことである。
いつか起こるであろう南海地震を考えたとき、地方新聞記者にも情報提供という非常に大きな役割が与えられている。果たしてどれだけ使命感に燃えることができるだろうか、住民の期待にどこまで応えられるだろうか。いまはまだ答えは出せないが、新聞社が情報を提供できないようでは終わり。必要としてくれている人がいる限り情報を絶やしてはいけない。このことを肝に銘じて日々仕事に当たりたい。 (片)