南海地震の想定見直せ
- 2011/3/15
- 日高春秋
東北地方を襲った巨大地震は、時間の経過とともにすさまじい被害が徐々に明らかになり、胸が締め付けられる。死者、行方不明者はテレビをつけるたびに増え、南三陸町では約1万人の住民の安否が分からず、ほかにも壊滅的な被害を受けた町が複数あるという。どうか一人でも多くの人が無事でいてほしいと、祈ることしかできない自分がもどかしい。500年に一度、1000年に一度ともいわれるが、牙をむいた自然のエネルギーはこれほどまで強大で、残酷なのか。
とくに津波は、いままでなんとなくイメージしていたものとはまったく違った。台風などの波や高潮と違い海全体が襲ってくると、以前から専門家がいっていた意味を、今回の津波の映像で理解させられた。人の想像や想定など、自然は簡単に超える。今回の地震、津波は想定外だと、専門家もテレビで話していた。今回被災した地域は、過去にも何度か津波に襲われたことがあり、住民の意識も防災設備・態勢の強いまちだったが、これだけの被害が出るということは、想像を絶する津波だったとしかいいようがない。
日高地方を含め、和歌山県もいつか、南海地震・津波に必ず襲われる。県のシミュレーションに基づく津波浸水マップなども作製されているが、今回の地震を見る限り、シミュレーション通りになるようにはとうてい思えない。見直しが必要であると同時に、われわれ住民も防災意識をもう一度見直す必要があるだろう。南海地震が想定をはるかに超えるかもしれない、いやそれとは違う想定外の津波が起こるかもしれない。いいだせば切りがないが、いやしかし、自然災害は待ってはくれない。 (片)